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【レタッチを学ぶ】レタッチャーの写真との向き合い方。 【レタッチを学ぶ】レタッチャーの写真との向き合い方。

【レタッチを学ぶ】レタッチャーの写真との向き合い方。

DESIGNER MEETS PHOTOGRAPHER Vol.17

編集思考とアートディレクションを武器に、企業やサービスの新たな価値を創出しているデザインコンサルティングファームDynamite Brothers Syndicate。日々、第一線のフォトグラファーとコンタクトをとっているクリエイティブディレクター、デザイナー、プロジェクトマネージャーが実際に出会い、影響を受けたフォトグラファーとのエピソードを明かします。今回は、写真のレタッチをテーマに、株式会社ヴィータに所属しているレタッチャー、志村亮さんを迎え対談を行いました。

前回の記事
>>>【レタッチを学ぶ】黒子に徹するレタッチャーの仕事術とは。
DESIGNER MEETS PHOTOGRAPHER Vol.16


高橋: 前半部分の撮影現場のお話に戻りますが、レタッチャー(志村さん)が現場へ行く時ってどんなきっかけで行かれるのですか?

志村:フォトグラファーから声がかかることが多いです。初めてご一緒するアートディレクターの方だったりするとご挨拶も兼ねて、みたいな目的もあります。あとは、商品撮影だと、撮影の方向性が見えづらい時などですかね。現場で実際やってみてどうなるかわからないときや、いろんな方法で試して撮ってみて、その場で簡易的にレタッチし、検証する作業が発生する場合などは呼ばれます。

高橋:昔、食品のヴィジュアル撮影案件を担当していたとき、レタッチャーさんが現場にずっといて、撮影したイメージをその場ですぐ作業してくれていました。それはちょっと特殊な現場かもしれませんが。

志村:僕たちが現場に呼ばれる時は、そこで方向性をクリアにするというのがミッションかなと思います。あとは時間の制約があって、撮ったあとすぐに納品の必要があるとか。

高橋:レタッチャーさんって時間の制約が結構ありませんか?基本タイトなスケジュールのように思います。いつも無理なお願いをしてしまっているような…。

志村:そんなことないですよ。でも、スピード感とレスポンスの速さは気をつけている部分ですね。無理難題と思えることに対しても出来ませんって言いたくないので、全力で対応するように努力しているつもりです。

高木:僕も、出来ませんって言いたくないです。

高橋:お二人とも素晴らしいですね!

志村:公に言ってしまったので、お互いハードル上がりましたね。頑張りましょう(笑)

株式会社ヴィータ所属レタッチャー志村亮さんの作品
ALBION 「FLORA DRIP」 P塚田直寛

高橋:フォトグラファーって瞬発力が必要じゃないですか。撮影日に全てを何とかしなきゃいけないですけど、アートディレクター、デザイナー、レタッチャーってその後、時間の猶予がある限りずっと作業できるというのは共通している部分かなと思います。

志村:確かにそういう部分でもデザイナーとレタッチャーは似ていますね。自分で区切りをつける時に、もどかしくなる部分もあります。

高木:一日かけて作業したのに、最初にあまり考えず、ラフにやったことが魅力的に見えちゃったりした時、「何やっていたんだろ?」と思ったりします。(笑)

志村:わかります。深夜遅くまでやって、翌日プリントして見てみたら全然良くなかったとか。

高木:時間をおいて、改めて見返すとまた違うじゃないですか。それも大事なプロセスだとは思うのですが。

志村:そうですね。極力、何件か並行して動くようにして、時間をおいて見るようにはしています。その時の勢いだけで作っちゃうと、視点が偏ってしまうことがあるので。

高木:自分の場合は何案件か同時進行していると、全然関係ない仕事同士がリンクすることがあって。その中で「今のトレンドや、クライアントに共通する課題はこういうことなのかな」と勝手に解釈したりするのですが、志村さんもそういった感じですか?

志村:例えば、他のレタッチャーの作品がプリンターに残っていたりして、そういうのを偶然見かけたりして、ハッとすることはあります。扱っている商材は違うけど、ちょっと目線が切り替わるというか、それを見た後に、自分の作品を見直して、また違った視点が生まれることはあります。

SUNTORY 「CRAFT BOSS MILKY PRESSO」P田島一成

高木:なるほど。僕だったら写真だったり、アートだったり、雑誌、CM、映画を見てインプットしなきゃと思っているのですが、志村さんは何から影響受けますか?

志村:代官山蔦屋に海外雑誌や洋書を見に行ったり買ったりしていました。昔の雑誌を見ると、時代の流れなどわかりますし、仕事のヒントになることも多いです。今は、インスタグラムやピンタレストなどのSNSで好きなフォトグラファーもすぐに探せますし、好きな作品がいつでもどこでも見れますよね。保存して貯めておいて、定期的に見たりしています。仕事していて、「あ、なんかこれに近い写真あったな」と思い出すと、保存ボックスを探したり。あとは、ファッション写真だと、人物のアウトラインのバランスがちょっとおかしくて面白いものとかを集めたりしています。

高木:空気感、距離感なども参考にされたりしますか?

志村:そうですね。本来の意図とかけ離れたことはできませんが、自分がいいなと思って、なおかつ挑戦できるタイミングだった時は参考にして作ったりします。

高木:ファッション写真ってシルエットの作り方が大事ですよね。トリミングもですが、例えばほんのちょっと足先や頭が切れているか切れていないかで全然印象が変わるし。そういう部分は参考になりますよね。

志村:100%理解できているとは思えませんが、いいなと思った写真に何でいいなと思ったのだろうと考えたり、自分なりの解釈をするようにはしています。自分はもともとキャラクターデザインを学んでいた人間なので、写真から入っていない劣等感がある部分もあります。あのカメラいいよね、とか、そういう言語も元々持ち合わせていなくて。だからその分、少しでもいろんなものを見て吸収したいという思いはありますね。

高木:自分もそうです。本当は1〜2年フォトグラファーのアシスタントをして学ばせてもらえたらその後のフォトディレクションの仕方も全然違うものになるかもと想像しますが、現実的ではないので、とにかくどういう画が欲しいのかを言語化できるように意識しています。

志村:でもアシスタントをして技術に詳しくなると、フォトグラファーからしたら、それがやりにくくなってしまうこともあるのでは?写真について知り尽くしていたりすると逆に…。

高木:確かにそうですね。いちいち指示したらウザいですね(笑)でも、撮りたい絵というか、見たいものはブレないようにしたいなと思っているので、そのためにリファレンスを充分すぎるくらい用意しておくなど、準備するようにしています。 

写真の流行りの話になるのですが、最近は綺麗に撮られていたりしてもその中にざらつき感があったりとか、極端に言うと素人っぽく見える写真が流行っているように感じます。それもSNSの影響なのかもですが、志村さんはどうお考えですか?

志村:流行りかどうかはわかりませんが、ひとつのパターンというか空気感が、どこかの国なのかメディアで生まれると、それがあっというまに世界中に広がって行くなという印象はありますね。

高木:レタッチしていると最新の写真を通して、世の中の流行りとか、もっと大きくいうと社会情勢とか、透けてみえてきそうですね。

志村:今は韓国ブームですが、少し前は中国の案件の仕事が多かったです。

高橋:グローバルの仕事だとアウトプットの要求もまた違うものになりそうですね。

志村:気にするところは違いますね。国や文化も違うので良し悪しの部分も当然違ってきますよね。

高橋:日本以外の国の方とお仕事をする機会があるのは、素晴らしいことですね。まだまだお話をお聞きしたいのですが、そろそろお時間になってきました。今日は、志村さんのレタッチャーとしての仕事術だったり、こだわりだったりをたっぷり伺えてとても勉強になりました。本日はどうもありがとうございました。

高木:ありがとうございました。

志村:こちらこそ、ありがとうございました。

>>NEXT
DESIGNER MEETS PHOTOGRAPHER Vol.18

※ALBION、SUNTORYの画像は、志村亮さんのお仕事事例です。

Photo by : Tameki Oshiro


■SPEAKER

高木 裕次 TAKAGI YUJI
CREATIVE DIRECTOR / ART DIRECTOR

高橋 梢 TAKAHASHI KOZUE
CHIEF PROJECT MANAGER


株式会社 ヴィータ

従来のレタッチ=画像処理にとどまらず、デジタルを使ったアナログ的な表現や、より洗練された手法で、新たなビジュアル表現の制作を行なっている。現在16周年目も迎え、業界でもトップクラスのレタッチャーが所属するクリエイティブカンパニー。

http://vita-inc.com/


株式会社ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート(DBS)

東京港区にあるデザインコンサルティングファーム。
ブランディング、デザインコンサルティング、ロゴマーク開発など幅広いフィールドで事業展開中。

HP : https://d-b-s.co.jp

高木 裕次 Twitter : @takagiyuji1

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