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私が出会ったフォトグラファーの仕事術。現場の空気づくりにこだわる理由とは (後編) 私が出会ったフォトグラファーの仕事術。現場の空気づくりにこだわる理由とは (後編)

私が出会ったフォトグラファーの仕事術。現場の空気づくりにこだわる理由とは (後編)

DESIGNER MEETS PHOTOGRAPHER Vol.04

編集思考とアートディレクションを武器に、企業やサービスの新たな価値を創出しているデザインコンサルティングファームDynamite Brothers Syndicate。日々、第一線のフォトグラファーとコンタクトをとっているクリエイティブディレクター、デザイナー、プロジェクトマネージャーが実際に出会い、影響を受けたフォトグラファーとのエピソードを明かします。

前回の記事

>>>私が出会ったフォトグラファーの仕事術。現場の空気づくりにこだわる理由とは (前編)
DESIGNER MEETS PHOTOGRAPHER Vol.03



すべては、良い写真が撮れると思っているから実行していること。

高橋:ロケ撮影ってその日の気温だったり、天気だったり、車の音だったり、コントロールしきれない要因があるじゃないですか。それも含めて、たとえばAという世界観を作りたくて、BにもCにもなるけど、それをAだと言い切って納品するパフォーマンスをしなくちゃいけないですよね。そう変わっていくことに対してはどう思いますか?

高木:たとえばロケ場所に行くまでに渋滞しちゃって、10分しか撮影時間がないとき、その10分で撮れるベストを撮るしかないから、Aを目指していたけど、BやCになることは仕方ないというか…そういうことも共有できるフォトグラファーがいいよね。

前川:当初予定していた状況じゃなくなっても、今できるベストを一緒に探してくれるフォトグラファー、ってことですね。

高橋:そう言う意味では、アートディレクターとフォトグラファーは二人三脚だと思いますね。私は全体の進行管理が役割のプロジェクトマネージャー視点で現場に行くのですが、良い空気感の中で撮影してくれていると、私にとってそれ以上ハッピーなことはないです。
たくさんのフォトグラファーを見てきた中で、鳥肌が立つようなフォトグラファーの記憶は、2016年にお亡くなりになってしまいましたが、宮本敬文さんです。知り合いのフォトグラファーのイベントにお手伝いに行った時の話なんですが、子どもたちが写真で遊ぶワークショップで、最後に集合写真を宮本さんがサプライズで登場して撮ってくれました。そのとき会場には、いろんなフォトグラファーが集まっていたけど、宮本さんがきたら空気が本当にガラッと変わって、「わぁ、こういうことか!」と思ったんですよね。もう、すべてを持っていっちゃうみたいな。

高木:どうやって持っていくの?

高橋:きっと「存在」なんですよね。きっとレスリー・キーさんも、直接一緒に現場でお仕事したことはないけど、同じように自分の色に持っていく感じなんじゃないかなって思ってます。

高木:レスリーさんとは一度「美術手帖」でご一緒したけど、とても情熱的だった。

高橋:どこを切り取ってもレスリーさんの空間になるんでしょうね。宮本さんもパーソナリティとして明るくてエネルギッシュ。みんながその人を見てキラキラしちゃうというか、一瞬で心奪われました。

高木:集合写真で?(笑)。

高橋:あいさつも「こんにちは!!!」という感じで、とにかくすごく元気。実際のお仕事でご一緒したことがないから、いつもそのテンションかわからないけど、空気を作れるというのはすごいなと思いました。
アートディレクターもそうだと思うけど、たぶんフォトグラファーって孤独だと思うんですよ。現場でいろんな人がいろんなことを聞いてくるし、判断を迫ってくるじゃないですか。「これでOKですか?」とか。ステージがオンの場面ではフォトグラファーがその役割の比重がすごく大きいと思っていて、だからその指揮者みたいな存在感はすごいなって思いましたね。

水流:宮本敬文さんについて、高橋さんの話と同じような内容のコラムを発見しました。それだけみんなに愛されていた方なんですね。そういう魅力って天性のものなんですかね?それとも、経験が人をそういうふうに変えていくんですかね?

高橋:フォトグラファーは、自分が主体になってみんなをまとめていかなきゃと認識していると思うから、比較的そういう意識で仕事していると思う。「現場の空気を作るのはフォトグラファーのミッション!」というのがフォトグラファーを目指す方に伝わるといいなと思います。写真だけ撮れればいいわけじゃない。

高木:宮本さんが元々そうだったかはわからないけど、良い写真を撮るために必要だと思っているんじゃないかな。現場を盛り上げたり自分の空気感にしたりすることで、良い写真が撮れると思っているからやっているんだろうね。全てはより良い作品を作るためで、そのアプローチは人それぞれ違うということなんだろうね。

高橋:それはフォトグラファーに限った話ではなく、クリエイティブディレクター、アートディレクター、デザイナー全員に言えることですよね。

高木:例えば初めての打ち合わせでフォトグラファーのスタジオに行ったとき、「おしゃれー!」って思ったりすることがある。ちょっと言い過ぎかもしれないけど、その空気感で「良い写真が撮れそう」って思ったり。

高橋:わかる。スタジオの大事さありますよね。代官山にある撮影スタジオTENTのコンセプトは、「みんなが心地のいいスタジオに」なんです。雑誌の編集者が物撮りによく使うスタジオなんですけど、あるブランドの撮影で立ち会ってくれたクライアント担当者さんが「こんなおしゃれなスタジオ、物撮りの撮影で初めてです!」って喜んでくれて。そういうのは私もうれしいし、時には撮影がおしてしまったりする状況で、居心地の良さってやっぱり大事ですよね。

>>>NEXT
一緒に仕事をしたいフォトグラファーと、これからのフォトグラファーに必要なスキル
DESIGNER MEETS PHOTOGRAPHER Vol.05



■SPEAKER

高木 裕次 TAKAGI YUJI
CREATIVE DIRECTOR / ART DIRECTOR

前川 亮介 MAEKAWA RYOSUKE
DESIGNER

水流 麻美 TSURU ASAMI
ASSISTANT DESIGNER

高橋 梢 TAKAHASHI KOZUE
CHIEF PROJECT MANAGER



株式会社ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート(DBS)

東京港区にあるデザインコンサルティングファーム。
ブランディング、デザインコンサルティング、ロゴマーク開発など幅広いフィールドで事業展開中。

HP : https://d-b-s.co.jp
Instagram : @dynamitebrotherssyndicate

高木 裕次 Twitter : @takagiyuji1

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