とっておきのカメラに出会うための連載「#わたしのカメラ 」。
そのカメラやレンズを通して見た世界は、どんなふうに映るのか。
また、フォトグラファーがその機材を選んだ理由とは。
今回はライカのカメラ「Leica M9」とその作例をご紹介します。
PROFILE
![INAGAKI](https://i0.wp.com/encounter.curbon.jp/wp-content/uploads/2023/02/93e031442cb756eb23e459dc7eeaca1b.jpg?ssl=1)
PROFILE
INAGAKI
1994年生まれ。愛知県出身。地元名古屋で大学時代の友人とサッカークラブを営んでいる。木村伊兵衛の撮影したストリートスナップやポートレイトに惹かれ、LeicaM9とM6を購入。サッカーを教える傍ら、クラブの子どもたちの成長を写真で記録するようになる。休みの日は、Leicaを片手に街に出かけ、気の向くままに撮影を楽しんでいる。
@isfuku![](https://i0.wp.com/encounter.curbon.jp/wp-content/uploads/2023/02/af403cb4f2c789697853006fcadd5351.jpg?resize=931%2C621&ssl=1)
わたしがこのカメラで撮る理由
「フルサイズのKodak製CCDセンサーを搭載しているから」。それこそが、私が数あるM型ライカの中でM9を選んだ理由です。
M9を選んだ理由は2つあります。M9の最大の特徴ともいえる、階調豊かでよくボケて、独特な色味とこってりした描写。撮った写真をみて、 絵描きの母が「力強く、絵の具で描いたような写真だね」と言っていたのを覚えています。この唯一無二の描写が1つ目の理由です。
2つ目の理由は、「制限」があること。M9は大きなシャッター音に、暗所ではノイズが乗るほか、機能的にいまひとつ物足りないないところが多々あります。M9はお世辞にも万能とは言えず、むしろ「制限」のあるカメラなんです。しかしその「制限」のおかげで、以前より時間や場所を気にかけ、光を意識するようになり、被写体との距離感や関係性を考えるようにもなりました。
M9では撮りづらい被写体などもあり、それらへの憧れを抱くこともありますが、これも「制限」がなければ気づけなかったこと。撮る、ということに真剣に向き合うようにさせてくれたカメラです。
information
Leica M9の基本情報
Leica M9は、2009年9月9日に発表されたフルサイズの1,800万画素Kodak社製CCDセンサーを搭載したデジタルライカ。
「1,800万画素」と聞くと、現行M11(6,000万画素) の1/3以下であまり高スペックのようには感じられませんが、M9の良さはそこにあります。CCDセンサーは性能さえ劣りますが、色合いの作り方やこってりとした描写がフィルムライクな写りを再現してくれます。
また、ボディはブラックペイントとスチールグレーペイントを採用した2バリエーションを展開。とりわけブラックペイントについては、傷の目立たないブラッククロームに比べ塗装は剥げやすく、使っていくうちに金色の真鍮が姿を現すのが、ファンにはたまらないポイントです。そして、携帯性も抜群でM10、M11と比べると持ち運びがしやすい重量です。
そんなLeica M9をまとめると、「古き良きを楽しめるデジタルライカ」と言えるのではないでしょうか。
幅・奥行・高さ:139mm×80mm×37mm
重量:585g