人がコーヒーを求めればそこはカフェなのだ【コーヒールンバ平岡のカメラとコーヒーを巡る北欧の旅16】
松竹芸能のコーヒールンバ平岡佐智男です。
普段はお笑い芸人の他に、カフェ「SACHIOPIA COFFEE」を運営したり、猿田彦珈琲の広報をしたりしています。
今回も、フィンランド・スウェーデンの北欧新婚旅行2週間のコーヒーを巡る旅の様子をフィルムカメラでお届けしようと思います。
この文章と写真を全国の北欧新婚旅行をされる皆さんへ捧ぎます。
PHOTOGRAPHER PROFILE
PHOTOGRAPHER PROFILE
コーヒールンバ 平岡佐智男
松竹芸能所属のお笑いコンビ コーヒールンバとして活動。コーヒー芸人としてテレビ・ラジオに出演する傍ら、自身のカフェブランド SACHIOPIA COFFEE (サチオピアコーヒー)」をオープン。現在、猿田彦珈琲の広報として参画。また、 ジャパン バリスタ チャンピオンシップ」 (バリスタ日本一を決める大会)の司会も務めるなど全身コーヒーまみれの芸人。コーヒー芸人としての出演歴 日本テレビ ヒルナンデス!」 ぐるナイ」、TBS マツコの知らない世界」、MBS 林先生の初耳学」、TBS ラジオ ジューンスー 生活は踊る」 他多数
@sachio_coffeeforme @sachiohiraoka https://www.instagram.com/sarutahikocoffee/北欧新婚旅行49:珍しい、個人の自家焙煎コーヒー屋へ
朝起きて、いつも行っている駅方向とは逆向きの道を歩いてみると、自家焙煎コーヒー屋があった。ヘルシンキ、ストックホルムと旅行してきて、あまり個人の自家焙煎コーヒー屋には出会わなかったかもしれない。
世界中のあちこちでコーヒーと向き合っている人がいることに改めて気付かされた。
めちゃかっこいいカフェだった。旅のガイドブックには載っていないひっそりとした素晴らしいカフェはある。
この日は北欧新婚旅行最終日だった。いい日になりそうな気がした。
北欧新婚旅行50:ストックホルムの世界遺産「森の墓地」へ
この日は1日自由行動にしていた。まだ訪ねられていない行きたいところをお互い自由に行動しようという日程だ。私は、ストックホルムの世界遺産「森の墓地」に行くことにしていた。
Skogskyrkogarden(スコーグスシュルコゴーデン)というらしい。
無名の建築家グンナールアスプルンドが友人と作った。
広大すぎる敷地には大きな十字架と自由なお墓があった。
いろんな形や装飾のお墓があって、なんだか森に住んでいるようだった。
スウェーデンには森に還るという考え方があるそうだ。死んだら森に還るから、森を大切にするらしい。お墓なのに、なぜか寂しい感じはしなかった。
普段は死生観なんて考えることはしないが、まさか新婚旅行で考えることになるとは思わなかった。
北欧新婚旅行51:ストックホルムのもうやんカレー
お昼になったのでどっかに入ろうと思った。あまり当てはなかったが、そう言えば、セーデルマルムのロッシュが教えてくれたカフェが近くにあることが分かった。(北欧新婚旅行記10参照)
「景色がいい」とも言っていたので、そこに行くことにした。コーヒーと一緒に軽食もあるはずだ。訪ねたのは「Hermans」という名前の港に近いカフェで、次々に人が入っていたので人気のカフェなのだろう。
店に入って、ロッシュ?と思った。
ランチビュッフェやんと。
しかも、ヘルシーなオーガニック食材を使用した、スパイス料理が並んでいる。
横の方にセルフ式のコーヒーもあるし、景色もいいが、ロッシュこれ、もうやんカレーやんと。カフェというか、もうやんカレーやんと。サフランライスにカレーが2種、野菜や豆を中心にオーガニック食材と絶妙な味付け。ここはストックホルムのもうやんカレーだった。
その時、私はハッとした。ロッシュは全てわかっていたのかもしれない。いつのまにか日本で凝り固まったコーヒー観、カフェ観を感じていたのだ。ヘイ、サチオ。スパイスランチビュッフェだろうと、そこにコーヒーがあればそれはカフェだよ、と優しく教えてくれていたのかもしれない。
信じられないぐらい美味しいランチビュッフェだったし、日本にはない味付けや食感が私を魅了していたので、カフェかどうかという話は一回吹き飛んだが、新たなカフェ観を教えてくれた。
北欧新婚旅行52:カフェに囚われるな
結局、めちゃくちゃ美味しいランチビュッフェを食べることができたが、コーヒーはもうちょっと飲みたいということで、ロッシュのおすすめ店の2軒目に行くことにした。
Googleマップでこの辺だけどというところを探すが見つからなかった。ここも景色がいいということを言っていたが、お店っぽいお店がなかったのだが、そのとき、ロッシュ?と思った。
ここであってますか?
公園の売店だと思ってスルーしていた。
よく見るとカフェだった。しかも席は布の折りたたみチェアーが芝生に転がっていてお好きにという感じで自由だ。
またロッシュが囁く。「カフェに囚われるなよ、テーブルなんてなくても、ほら靴を脱いで芝生の上で飲むコーヒーもなかなかいいだろう」と。
確かに、裸足でストックホルムの日差しを浴びながら飲むコーヒーは開放感以外の何物でもなかったし、味わいがとかそんなものは無に等しかった。
芝生にセルフタイマーのカメラを置いて自分を撮っていたら前の席に座っていた地元の女子大学生に笑われたが、それも心地よかった。
北欧新婚旅行53:人がコーヒーを求めればそこはカフェである
ガムラスタンの中心部にも、ロッシュに教えてもらったカフェがあった。
看板にもコーヒーのメニューがあったので、ここはカフェだと思って入ったが、洞窟のような店だった。
洞窟みたいで変わっているなと思ったが、入った途端、大量のお酒があり、洞窟の奥にはミラーボールがあり、パーティールームがあって、その中には大型バイクが置かれていた。
そもそも、店内のライトがうっすら紫と緑だった。ロッシュ?と思った。ここ、バーですよね?
違う、ロッシュは教えてくれているのだ。バーだろうが何だろうが、人がコーヒーを求めればそこはカフェなのだ。
会って10分の旅行者の凝り固まったカフェ観を見抜き、カフェで調べても出てこないストックホルムのカフェを伝えることで、一回り大きいカフェ人となることを望んでくれていたのかもしれない。
ロッシュ本当にありがとう。ストックホルムのもうやんカレー、公園の売店、洞窟のバー……。ガイドブックに載っていない、教えてくれなければ1000%行かなかったカフェであった。
北欧新婚旅行54:最後に
北欧新婚旅行が終わった。翌日ストックホルムからヘルシンキへ戻り、そのまま成田空港へ帰った。ストックホルムの空港では1人2個ずつ持ち込んでいたキャリーケース全てに「HEAVY(重い)」と書かれたダグが貼られた。
あっという間の2週間だった。書いてないことだってたくさんある。
帰りのスウェーデンのアーランダ空港へ行く時、間違って1個手前の駅で降りてしまって、妻が激ギレしたことや、ストックホルムのイケてるセレクトショップで靴下3個セットを買って1万円して目ん玉飛び出たこともあるが、それもいい思い出だ。
帰ってきて、植物の水やりのために設置した簡易プールを片付け、フィルムを現像に出した。
一生に一回の旅行だなと思う。こんな長期間こんな充実した旅行は一生に一回だなと。また行きたいなというより、北欧に帰りたいという心境だ。あの清らかで輝くような朝の空気をもう一度吸いたい。ゆっくりとしたささやかな幸せに溢れたカフェでもう一度あたたかなコーヒーを飲みたい。
この旅行に一緒に行ってくれた、そしていろいろ調べてくれてご飯も作ってくれた妻や、快く送り出してくれた松竹芸能・猿田彦珈琲の皆さんには本当に感謝申し上げます。
北欧が大好き。もう一度妻と北欧に帰るという目標ができたので、それに向かっていく。
さらに、この旅行記が全国の北欧新婚旅行者の皆さんの何かの役に立てれば幸いだ。