《47SERIES》地域フォトグラファーに聞いた、私がここで撮る理由|No.2
暮らしている地域の魅力には、なかなか気づけないもの。
CURBON編集部の私も、生まれ育った地元の魅力はなにかと聞かれるとすぐに答えられなかったことがあります。
47都道府県のフォトグラファーとつくる連載「47SERIES」。
前回に引き続き、地域の魅力を再発見するべく47都道府県の地域で活動するフォトグラファーに〝私がここで撮る理由〟を聞きました。
【前回記事】
>>《47SERIES》地域フォトグラファーに聞いた、私がここで撮る理由|No.1
鳥取県で撮る理由
写真の価値はどこにあるのか。そういったことを日々、自問自答しています。どのような価値観を持つのか、それはどんな人生を送りたいのかということに繋がると思っています。
私たちが持っている価値観は、考えることよりも根底にある意識の中から生まれてきます。撮ることはその一瞬に生まれた自分の感性に気づかせてくれ、写し出した像は自分に嘘をついてはいないか、欲張らずに等身大でいることができているのかを確認させてくれます。
多様化する社会の中で、絵画から派生し幕末に海を渡り日本に伝わってきた写真という文化も月日が流れました。現在では世界の中でも、日本の写真産業・文化は大きな資本の中に存在しています。
また、SNSを始めとするデジタルコンテンツでは、今となっては写真がないと成立しないツールになりました。それは、デジタルが重要な役割を果たす現代で、写真が世界の真ん中にあるとすら思えます。
また、最近では自分の写真が不特定多数の他者に広がらない方がいいと考えています。それは、大切な人たちに届いてくれることが本望だからです。
そんなことを思いながら写真の価値の行方を考えていると、日々の中で自分にとって大切な瞬間が明確に見えてきます。すると、その瞬間にファインダーを覗いてることすら惜しいと気付きました。その意識は、撮らないことも写真であると教えてくれます。
私は日本の都道府県のなかでもっとも人口が少なく、自然資源の豊かな鳥取で育ちました。この土地の自然・人・物・ことの豊かさは、数字では語ることができず、AIでは感じられません。
もちろん、自然の過酷さもあります。それでもこの場所に生まれてこれたことを嬉しくなる瞬間があります。それは普通のことがこんなにも豊かだという私の意識の中から生まれています。
青木幸太
鳥取生まれ。2019年に独立し、鳥取を拠点に活動を開始。広告・雑誌・ブランディングなどの撮影を手掛けながら、作家としても定期的に展覧会を開催。
光は時間軸の上にあり、写すことは人生の流れそのものを表現している。普通に写すこと。それは、欲のない表現。
Instagram:@aokikota0326
Web / Artist Site:kotaaoki.com
Commercial Site:kota-aoki.com
瀬戸内海を撮る理由
両親の実家が海の目の前にあることもあり、小さい頃に見た瀬戸内の景色は、私にとって原風景の一つ。瀬戸内海に惹かれて写真を撮ってしまう原点は幼少期にあると思います。
フェリーに乗って風を感じる時間、砂浜で穏やかな波を見る時間、島々を縫うように行き交う船を眺める時間、私にとってそのすべてが、穏やかで心地よく特別で、今までの、そしてこれからの私を作りあげていく時間になっています。
これからもそんな瀬戸内の風景や、そこに居る人々の営みを撮影して形に残していきたいと思っています。
Seto
広島県出身、現在は岡山県在住。
関西で数年間カメラマンとして活動した後、現在は、本業の傍らフリーランスのカメラマンとして中四国や関西を中心に活動中。
趣味で撮影した瀬戸内の情景や作品を中心に、Instagramに投稿している。
instagram:@seto_shima
青森県八戸市で撮る理由
普段は主に青森県八戸市で撮影しています。
この地域が好きな理由はたくさんありますが、海、山、川にすぐに行けること、自分自身が自然を感じるのが好きなこと。また、人に着目すると温かい人、そして楽しい人が多いと感じています。
青森県は春夏秋冬を感じられるので、他の地域の方々にぜひ見てもらいたい。
青森はこんなスポットがあると微力ながら広めていけたらなと思っています。地元民しか知らない場所を訪れて、フィルムカメラで写真におさめていく旅をしていきたいです。
ほっしー
1986年生まれ、青森県八戸市在住 。主に中判フィルムカメラ、PENTAX67、Makina67で人物や風景を撮影している。光を意識して、優しく、柔らかいイメージを創れるように日々、試行錯誤しなが ら楽しんでいます。
Instagram:@hossy_film
Twitter:@hossyfilm
さいごに
あなたの地元を観る心が、新鮮で、楽しくなるようなきっかけをつくりたい。
そんな想いを秘めたフォトグラファーたちの「私がここで撮る理由」を伺いました。
今後も写真家と共に、写真の力を最大限に引き出す企画をお届けしていきます。
次回の更新をお楽しみに。