デザイナーの目に留まりやすいポートフォリオサイトとは Part1

DESIGNER MEETS PHOTOGRAPHER Vol.06

編集思考とアートディレクションを武器に、企業やサービスの新たな価値を創出しているデザインコンサルティングファームDynamite Brothers Syndicate。日々、第一線のフォトグラファーとコンタクトをとっているクリエイティブディレクター、デザイナー、プロジェクトマネージャーが実際に出会い、影響を受けたフォトグラファーとのエピソードを明かします。

前回の記事

>>>一緒に仕事をしたいフォトグラファーと、これからのフォトグラファーに必要なスキル
DESIGNER MEETS PHOTOGRAPHER Vol.05



■SPEAKER

高木 裕次 TAKAGI YUJI
CREATIVE DIRECTOR / ART DIRECTOR

細野 隆博 HOSONO TAKAHIRO
ART DIRECTOR

大脇初枝 OWAKI HATSUE
ART DIRECTOR


サイトのデザインは見やすさが大切。

高木:今回は、仕事を依頼したくなるポートフォリオサイトがテーマです。フォトグラファーをアサインする際にサイトを見ると思うけど、良さそうだなって思うポートフォリオサイトってありますか?サイトだけでなくインスタとかも含めての話でいいと思うけど、何かエピソード的なことでもあれば聞かせてください。

大脇:サイト内の写真サイズ、解像度が適切であるっていうのはもちろんなんですが、この写真見たいなって思ってサムネイルクリックしたとき動きの演出があるものだと、たくさん写真探していたり、焦っているときはすこし扱いづらく…。

細野:サイトが凝りすぎているってこと?

大脇:そうです。動きが遅かったりするサイトありますよね。

細野:雰囲気重視過ぎるデザインより、見やすいデザインがフォトグラファーを探しているときには良いですよね。サムネイルがあると見やすくていいなって思います。

大脇:それ、わかる。最初から1枚ずつしか表示されないと、ちょっと大変だなと感じました。大きく表示されていると写真は綺麗には見えるんですが、まずは一覧でどんな写真があるのか知りたいから、1枚ずつ表示される構成だと、全部見るのはちょっと大変。

細野:さらに、それがファッション→フード→ランドスケープってバラバラに表示されると、ツライときあるよね。フォトグラファーのサイトって見にくいなと感じることありませんか?

高木:どうしてそう思うの?

細野:海外のフォトグラファーのサイトを見ることも多くて、凝っているサイトが多いんだけど、探す側からしたら探しにくいなって感じる。エフェクト、アニメーション、デザインとかが主張しすぎてるみたいな…。仕事のためにフォトグラファーを探す大前提に立つと、僕たちデザイナーは写真そのものが見たいから、サイトのデザインはあまり関係ないのかも。

大脇:もったいないですね。

高木:デザイナーはクライアントに提案しないといけないから、提案用に写真をまとめたりするじゃないですか。フォトグラファーごとに。そういう時、単純に作品が探しやすい、見やすいっていうのがいいみたいだね。まとめにくいサイトや複雑な設計だと、少し優先順位が下がってしまうかも…。
例えば、インスタはインスタでいいんだけど、作品じゃなくて昨日食べたものとか、作品じゃない写真が紛れ込んでたら見づらいよね。人となりはわかるけど。

細野:わかる。でもこれはあくまでも仕事として、デザイナーとして、仕事を依頼するにあたってという前提での意見。作家性や写真自体の良し悪しの話は別なので、サイトづくりの参考になれば良いね。

プライベートワークの重要性。海外の旅写真って…

高木:ちょっと話は変わるのだけど、アウトドアブランドのファッション撮影があった際、フォトグラファーを提案するためにいろんなサイトを見ていた時のことを思い出しました。
ファッションの世界観を見せつつ、ガチな山の中で撮るっていう撮影だったんだけど、その時お願いしたフォトグラファーさんはファッションのフォトグラファーというよりは、ポートレートの仕事が多い人で。どうしてその人にお願いしたかっていうと、その人のサイトにプライベートワークの項目があって、それを見ると山の写真ばっかりだったの。この人、山好きなんだーって思って、お願いしたことがある。ファッションの仕事はなくても、ポートレートの写真は良かったし、何より山の写真が魅力的に見えて。

細野:なるほど。

高木:だから仕事以外の写真でも、興味があることとか、これが好きですっていう主張も必要なのかなと思った。実際に会ってみたら登山の話で盛り上がっちゃって。ロケハンと称して2人で山を登った。(笑)

細野:楽しそう!行きたかった。

高木:一緒に山登りしながら撮影場所を決めていって、撮影当日も登りながら撮影して。山好きだからこそ、前のめりで楽しく撮影してもらえたっていう思い出エピソード。

細野:プライベートワークは載せておいてほしいですね。車だったりとか、その人の好きなジャンルがわかるので。僕たちデザイナーが好きなジャンルの仕事の依頼が来ると嬉しいのと同じですよね。
サイトの話ではなく、対面でブックを見せてもらった時の話なんですが、海外の旅の写真をたくさん見せてくれた方がいて、旅の写真って善し悪しの判断難しくないですか?

高木:海外の写真が良く見えちゃうやつ?(笑)今はコロナで行けないけど、自分たちも海外に行ったらずっと写真撮るもんね。

細野:そうそう。旅の写真もいいんだけど、例えば山でも良いし、植物とか、車とか、ミュージシャンとか。自分の個性や好きな世界観がプライベートワークにあるといいかなと。

高木:その海外の旅の写真から何かを感じる人もいると思うし、モチーフに左右されない写真を「見る力」が、僕たちデザイナーにも必要だね。光とか、季節、風。青春とか目に見えないモチーフでも良いと思う。世の中には、青春がコンセプトの商品もあれば、風がコンセプトの商品もあるかもしれない。

大脇:海外の案件はなかなか頼めないですからね…そのフォトグラファーが何を捉えているかを感じられるといいですね。

高木:そう。そういう商品とかブランド、デザイナーの考えるコンセプトとイコールで繋がるような表現の写真というか、強みがあると、仕事を頼まれやすいのかもしれないね。

>>>NEXT
デザイナーの目に留まりやすいポートフォリオサイトとは Part2
DESIGNER MEETS PHOTOGRAPHER Vol.07



株式会社ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート(DBS)

東京港区にあるデザインコンサルティングファーム。
ブランディング、デザインコンサルティング、ロゴマーク開発など幅広いフィールドで事業展開中。

HP : https://d-b-s.co.jp
Instagram : @dynamitebrotherssyndicate

高木 裕次 Twitter : @takagiyuji1