ロケーションのポートレート写真、レタッチ3つのコツ #本当は教えたくないレタッチ |DAICHI

さまざまな作風の表現を可能にする写真のレタッチ。

理想の写真に近づけるための工夫を凝らしているのではないでしょうか。そんな自分のイメージや可能性を膨らませるために、レタッチの表現が光るアーティストにレタッチ哲学を教えていただく連載「本当は人に教えたくないレタッチ」。

今回は関西でポートレート撮影を中心に活動するDAICHIさんに、ロケーション撮影で使えるレタッチ術を教えてもらいました。


Photograher / DAICHI

1994年滋賀県出身。活動拠点は大阪、東京。 医療職を4年勤めた後フリーランスフォトグラファーに転身。主にポートレート撮影、ファッション撮影、food撮影、企業紹介動画、ウェディング撮影を得意とし、企業案件やPR、メディア掲載など幅広く活動を広げている。instagramのフォロワー数は約6万人を超える。

instagram : @______earth__


初めまして!カフェラテとsonyをこよなく愛するフリーランスフォトグラファーのDAICHIです。

みなさん季節の変わり目お身体大丈夫でしょうか?僕はくしゃみが止まりません。そしてレタッチの手も止まりません。メモリ消費量とティッシュ消費量が比例しております。

というわけで今回は普段僕が行なっているポートレートにおける「ロケ撮影でのレタッチ術」をご紹介していきたいと思います。


レタッチの目的とは

レタッチの目的は被写体の魅力を最大限活かすこと。そして自分の世界観を表現することです。
写真の中ではどんな人でも自分色に染めることができ、作品を作り出す欲求を満たすことができます。

DAICHIさんの作品

レタッチの準備

被写体の魅力を最大限活かすためにはこういう世界観を表現する写真にしたいという理想をレタッチする前にある程度固めて、理想像に向かってレタッチしていきます。今回の場合は①ふんわりした質感、②メリハリを効かせた陰影、③明るく透き通った肌、というイメージです。これらの点をポイントにして説明していきます。

レタッチの3つのポイント

①ふんわりした質感

まず屋外での撮影は天気や場所によって光が一定ではありません。光の当たり方によって写真がどうなっているかを理解し、その写真をどうしたいかが大切です。

原画を用いて編集する過程をお伝えしていきます。普段Lightroom classicsを使用しているのでその中で使われている単語や画像を用いて説明します。

DAICHIさんの作品
撮って出しの写真

この日は曇りだったので太陽の光が雲によって拡散されコントラストの低いフラットな写真です。

まずは基本補正でコントラストを上げ、ゆるっとしている写真を硬くします。そして少し暗いので露光量を上げ、ハイライトを下げます。ハイライトを下げることによって明るい部分のディティールが見えるようになるので肌の細かいところが出てきます。

このとき、露光量を上げすぎて肌を明るくしすぎないようにしましょう。この後にふんわり感を出すにはトーンカーブで明るくします。「トーンカーブはわかりません!」と思ったあなたも気軽に試せるように解説しますので一度見てみてください。

撮って出し
基本補正を調整

露光量で明るくするだけでは明るい部分がより明るくなるだけなのでふんわり感は表現できません。明るい部分と暗い部分を明るくすることで“ふんわり”を表現できますつまり下記の図のようにハイライト部分と黒レベル部分を明るくするということです。

基本補正のみ調整
トーンカーブ調整

②メリハリを効かせた陰影

ふんわりとした質感だけでは全体的に明るいもののぼんやりとした伝わりづらい写真になってしまうので、髪の毛や瞳の黒い部分がしっかり黒くなるように調整します。つまり黒いものは黒く表現するとメリハリがつくということです

トーンカーブの右側は写真の明るい部分、左側が写真の暗い部分を表しています。今回のモデルさんは黒髪なので左側の暗い所にポイントを打ちます。このとき、トーンカーブのポイントは一点だけではなく何点か打ち、背景に影響する部分、髪の毛に影響する部分など細かく分けて調整するとより自然に見えます。

メリハリを意識してトーンカーブを調整

③明るく透き通った肌

続いて肌の調整をおこないます。パラメトリックカーブ(Lightroomの機能でスマホの無料アプリにもあります)を用いて細かく調整します。肌は1つの白ではなく明るい白、少し明るい白というように何層にも分けることによって立体感を出すことができそれが透明感にも繋がっていきます。ダーク、ライト、ハイライトの順番で微調整し、思い描く理想の肌に仕上げます。最後に明瞭度を下げ、写真をよりソフトに調整し完成となります。

撮って出し
パラメトリックカーブにて調整・完成

before after

さいごに

今回は実際に自分が普段おこなっているレタッチ方法の一つをご紹介しました。今回ご紹介したレタッチ術はスマホアプリでも試すことができます。レタッチで被写体の魅力を最大限に引き出し、写真の世界観をつくる感動をぜひ味わってみてください。