OLYMPUS PEN EE-3

とっておきのカメラに出会うための連載「#わたしのカメラ 」。

そのカメラやレンズを通して見た世界は、どんなふうに映るのか。
また、フォトグラファーがその機材を選んだ理由とは。

今回はオリンパスのカメラ「OLYMPUS PEN EE-3」とその作例をご紹介します。

PHOTOGRAPHER PROFILE

みしぇる。(Kikuyama Kohei)

PHOTOGRAPHER PROFILE

みしぇる。(Kikuyama Kohei)

1995年生まれ。沖縄県出身、滋賀県在住。ことばと写真による表現を通じて、よりよい自分を目指す。見た人が「これは自分の記憶だ」と錯覚してしまうような、穏やかでさりげない写真を理想としています。

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わたしがこのカメラで撮る理由

カメラとの出会い

ハーフサイズカメラの代表であるOLYMPUS PENシリーズの中でも、最後期まで生産されていたOLYMPUS PEN EE-3。シャッターボタンを1度押すだけで撮影が完結する、その使いやすさが一番の特徴でしょう。

ぼくがこのカメラを手に入れたのは大学卒業間際のこと。卒業後は地元沖縄に帰ることが決まっていたこともあり、卒業旅行で使いやすく、離れてしまう友人たちや4年間を過ごした土地での時間を邪魔せずに思い出を残せるカメラとして購入しました。

OLYMPUS PEN EE-3を使い続けたい理由

35mm判のフィルムの1コマに2コマ分の像を記録する性質上、同じ大きさで鑑賞したときに35mmフルサイズの画像に比べて粒状感が増した「フィルムらしい」描写を楽しむことができます。最短焦点距離が0.9mと、似たような使用感である写ルンですと比較してもピントの合い始める位置がさらに遠いため、油断するとカメラから近い被写体がボケやすいです。でも、こうした像の荒さが思い出をより思い出らしくする効果があるように思います。

われわれ人間の記憶というのは思いのほか頼りないもので、時間の経過によりこぼれ落ちてしまった記憶は都合のいいように埋め合わせられることが少なくありません。ハーフカメラのいまひとつ解像感が不足したような写りはおそらく、われわれの頭の中にある記憶と、目の前に実際に現れた写真との間の齟齬を小さくしてくれています。それゆえに、記憶に近い写真を残すことのできるカメラとも言えるかもしれません。

とはいえ、単に画質が低いということではなく、オリンパスの銘玉であるズイコーレンズの描写力に驚かされる場面も少なくありません。苦手とされている暗所での撮影も、きちんと光源の位置などを把握しながら撮影すれば思いのほか豊かな描写を残してくれます。

カメラのサイズや操作の簡便さからも、常に持ち歩いていても邪魔になることがなく、まさに日常が思い出に昇華するカメラと言えるでしょう。

フィルム価格の高騰が、いよいよ手のつけられない水準へと達してしまったとすら思える、ここ1年ほどの状況。正直なところ、新しくフィルムカメラをおすすめするということ自体がためらわれますが、そんな中でも中古相場での手の出しやすさや、通常の倍の枚数撮影できるハーフカメラである点からも、いま最もおすすめしたいカメラだと思っています。

information

OLYMPUS PEN EE-3基本情報

1973年5月に発売された、ハーフサイズカメラ・OLYMPUS PEN EE-3は、1961年から販売されていたEEシリーズの第3世代にあたるモデル。PENシリーズの累計販売台数は、800万台以上にのぼります。

前モデルであるEE-2からの改良として「GN14専用フラッシュマチック機構」が搭載されたことが大きなアップデートポイント。この機構は、PEN専用のストロボ・PS 200と合わせて使用するときにだけ、「カメラから被写体までの距離」と「レンズに記されたオレンジ色の距離を示す数値」を合わせると、絞りを自動で調整してくれるというもの。室内撮影はもちろん、屋外での逆光撮影時にも役立つため、撮影の幅がぐんと広げてくれます。

撮影時の光量が不足している場合には、ファインダー内に通称「赤ベロ」と呼ばれる警告板が出され、シャッターが切れなくなる仕様。これは真っ暗な写真にならないための予防機能でもあり、そんなところにも作り手の思いやりを感じます。

1973年から1986年まで製造されていたというロングセラーモデルだったため、中古市場には状態がいいものも多数あります。初めてのハーフサイズカメラをお探しの方におすすめの一台です。

幅・高さ・奥行:108mm×66mm×47mm
重量:335g