リサ・ラーソン工房へ!ヴィンテージ品を巡る旅【コーヒールンバ平岡のカメラとコーヒーを巡る北欧の旅 13】
松竹芸能のコーヒールンバ平岡佐智男です。
普段はお笑い芸人として活動する傍ら、カフェ「SACHIOPIA COFFEE」を運営し、猿田彦珈琲の広報として参画しています。
今回は、2023年6月にフィンランド・スウェーデンに2週間の北欧新婚旅行をフィルムカメラで撮影してきましたので、お届けしようと思います。
この記録と写真を全国の北欧新婚旅行をされる皆さんへ捧ぎます。
PHOTOGRAPHER PROFILE
PHOTOGRAPHER PROFILE
コーヒールンバ 平岡佐智男
松竹芸能所属のお笑いコンビ コーヒールンバとして活動。コーヒー芸人としてテレビ・ラジオに出演する傍ら、自身のカフェブランド SACHIOPIA COFFEE (サチオピアコーヒー)」をオープン。現在、猿田彦珈琲の広報として参画。また、 ジャパン バリスタ チャンピオンシップ」 (バリスタ日本一を決める大会)の司会も務めるなど全身コーヒーまみれの芸人。コーヒー芸人としての出演歴 日本テレビ ヒルナンデス!」 ぐるナイ」、TBS マツコの知らない世界」、MBS 林先生の初耳学」、TBS ラジオ ジューンスー 生活は踊る」 他多数
@sachio_coffeeforme @sachiohiraoka https://www.instagram.com/sarutahikocoffee/北欧新婚旅行37:陶器の聖地グスタフスベリ
北欧のヴィンテージ食器といえば有名メーカーのグスタフスベリとアラビアという方も多いだろう。我々夫婦もヴィンテージ食器やインテリアが大好きで、今回のグスタフスベリを勝手に聖地化し、必ず訪れたい場所の一つにしていた。
グスタフスベリはアパートからバスで1時間程度のところにあり、ミュージアムなどもあるらしい。雨雲が少し出ていたが、これまでが暑すぎたのでちょうどいいかもしれないと妻と話していた。
グスタフスベリには雑貨屋さんや、レストラン、陶器ブランドのイッタラやグスタフスベリ製品のアウトレットなどもたくさんある。日本人旅行者はほぼいなかった。
到着してすぐ、蚤の市開催中の看板を発見し、偶然開催しているかもしれないろ奇跡に感謝したが、いくら歩いても人に聞いてもそんなものはやっていなかったし、残念ながらミュージアムもこの日は会館していなかった。
だが、他にも訪れるべきところはたくさんあったので気にしなかった。
その中でも、絶対訪れたい目的地の一つが、リサ・ラーソンの窯元だ
リサ・ラーソンは日本でも人気の高いスウェーデンの陶芸家・デザイナーで、ここグスタフスベリでも活躍した。猫や犬、ライオン、子供などをモチーフにした彼女の作品はご存知の方も多いだろう。その窯元がここにあり、今も職人さんが絵付けしたり焼いたりしているのを間近で見学できる。
しかもなんと、ここにはリサ・ラーソンのヴィンテージの作品が展示・販売されていることがわかり、我々のテンションは上がり続け、スウェーデンの雲り空を突き抜けた。
一つ一つ違う表情の作品を見ながら、妻は迷っていた。
まさか、こんな作品群の中から選んで購入できるなんて思ってなかったからだ。ぜひ北欧新婚旅行でグスタフスベリを訪れる方は選ぶ時間をたっぷり予定に組み込んで訪ねることをお勧めしたい。
北欧新婚旅行38:大きな木の下だと雨に濡れない
結果、1時間悩んだが、妻は選びきれなかったので昼食を取ることにした。妻がサンドイッチをアパートで作ってくれていたので、リサ・ラーソン工房やミュージアムの目の前にある芝生でそれを食べることにした。
工房の横のレストランでカプチーノをテイクアウトして、目の前の芝生で食べる計画だ。
コーヒーを買いレストランを出ようとした瞬間、大雨が降ってきてみんなレストランに逃げ込んでいたが、妻の「芝生の真ん中に大きな木が植っていて、葉っぱが茂っているから雨は大丈夫だろう」という判断のもと、我々は大雨の中、逃げ込んでくる人と逆流するように外に飛び出した。大木の下の芝生にレジャーシートを敷き、アパートから持ってきたサンドイッチを食べるクレイジージャパニーズトラベラーと化した。
結果、雨には全く濡れなかったし、気温も落ち着いて気持ちよかったし、困難があっても計画を遂行する妻の実行力に改めて感服した。
北欧新婚旅行39:情熱は国境を越えるかもしれない
昼食を終え、我々はリサ・ラーソン工房へ当たり前のように戻っていった。
戻ってきた日本人旅行者はまた1時間悩み出した。なぜこんなに悩んだかというと、このリサ・ラーソン工房はカードが使えず、現金のみの支払いになるのだ。幸い我々は前日の蚤の市である程度現換金していたので、現金は持っていた。だが、限度がある。どれを買うべきか……。あまりの悩み具合にリサ・ラーソン工房の作家さんも心配になって声をかけてくれた。それがヨハンナさんだ。
「あまりに悩んでるけど、大丈夫?」という具合だ。
「とても作品が好きで、全部連れて帰れないから、悩んでる」と伝えると、困ってるわけではないということに安心しているようだった。
ヨハンナさんに優しく見守ってもらいながら、妻は猫3匹と犬1匹、私は犬2匹を連れて帰ることにした。ちなみに、妻は日本に帰ってきてすぐに猫を飾り、私は待ちきれずスウェーデンのアパートに飾っていた。前日の蚤の市でオールド_リサ・ラーソンの犬を1匹買っていたので、私は犬が計3匹になっていた。
購入を決めたばかりの高ぶる情熱のまま、ヨハンナさんに気になっていた隣の食器屋さんについて聞いてみた。営業してるのかどうか分からず、見学だけでもしたいと思っていたからだ。
「隣の部屋は食器が数多くあるけど、入れないのでしょうか?」と聞くと、ヨハンナさん曰く、「今はこのお店のオーナーがいないからクローズしてるけど、なにか欲しいものがあったら、オーナーに伝えておくから見てきていいよ」と。
えぇ……!?
入って買っていいの??
ヨハンナさんの独断でOKが出た。
ヨハンナさんの気が変わる前にそそくさと入ると、そこは天国であった。
グスタフスベリを中心にアラビアやロールストランドなどの全てヴィンテージの食器が積み上げられていた。
信じられない、景色だった。
こんなことならもっと換金してきたらよかったと心から思ったが、限りある資金で色々選ぶのがいいんだよなと気持ちを切り替えた。
ふと入り口を見てみると、我々が入った後にヨハンナさんがなぜか、誰も入れない様に、立ち入り禁止の看板をかけていた。なぜだか全く分からなかったが、もしかしたら我々の熱意がヨハンナさんの心を揺さぶったのかもしれない。
いや、もしかしたら大雨の中、芝生で飯食ってたのも、ヨハンナさんは見ていて、その姿が心を揺さぶったのかもしれないとも思った。
狂ったように食器を選んだ。実際、白目でベロも出ていたかもしれない。そのぐらい脳の成分が分泌されていた。妻は「同僚へのお土産は全部食器じゃ」と言い出し、織機を積み上げていたがスーツケースの容量を思い出し、我に返っていた。
見たこともないリサ・ラーソンの黒光している巨大ブルドックも鎮座していた。ほんもののブルドックぐらい大きかった。もし私が大金持ちだったら絶対買っていたと思うが、私レベルでは手が出せなかった。
いつかこれを買いにスウェーデンに戻ってやるという目標もできた。
そんな時、観光の方だろうか? 英語ではなかったと思うのだが、通路のガラス越しに、話しかけて来る方もいた。
「あなたたち、どうやって入ったの?」というようなことを言ってきていたのかもしれない。
大変申し訳ないが、僕たちが勝手に客を店に入れるわけにも行かず、「ガラスが分厚くて聞こえませんねん」という一世一代の困り顔をさせていただいた。
我々が持っていた現金は、全てここで使い果たした。
店舗オーナーへの書置きと売り上げをまとめたものをヨハンナさんが作ってくれた。帰り際に、私たちが日本から来たことを伝えると、「リサ・ラーソンの販売イベントで日本に行ったとき、現地の日本人スタッフがこれをくれたんです。なんて書いてあるの?」とゴム判を持ってきた。見るとカタカナで「ヨハンナ」と書いてあったので、「あなたの名前だよ。これは『ヨ』、これは『ハ』です」と伝えると、判子を紙に押して笑っていた。