安井達郎の妻と過ごす写真のある日 #1 日課のランニング後に
愛機のカメラでパートナーとの暮らしを記録する、モデルで写真家の安井達郎(以下、安井)さん。そんな安井さんの、妻と過ごす写真のある日常をお届けします。
PHOTOGRAPHER PROFILE
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安井 達郎
モデルとして雑誌広告等に出演する傍ら、映像作家としてnever young beach、indigo la EndなどのMV監督を務める。近年は自身のYouTubeにて日常を切り取ったVlogを発信している。2023年より写真家としての活動をスタートさせる。
@tatsuroyasui https://www.youtube.com/@tatsuroyasui「一枚撮らせてくれないか?」という一言は世界が広がる可能性に満ちた言葉|安井達郎 #写真家放談
結婚してからはモデルとして、妻である高山都と一緒に仕事することも増えた。
芸歴は妻のほうが長く、業界の大先輩。現場での仕事っぷりを垣間見るたびに学ぶことがたくさんある。
この日は、とあるブランドの秋物撮影で九十九里町へと出向いた。
ビーチは炎天下。そしてニットやコートを着なければいけない。
いわゆる過酷な現場というやつだ。僕はふと「暑い……」と口にしてしまう。
それを聞いた妻に「暑いのはみんな同じなんだから、ネガティブなこと言わない!」と注意される。はい、おっしゃる通り。なのだが、つい無意識にそのワードが出てしまう。
続けて妻は「スタッフさんが気を遣うから!」と。はい、続いてもその通り。ぐうの音も出ない。
僕と違い、妻はあらゆることをポジティブに変換することがうまい。状況を悲観するより、その場をどう楽しむかを考える。それも意識的に。つまり妻は根っからのポジティブというわけでなく、ポジティヴに物事を見て、考えることが得意のようだ。状況を楽観的に受け取ることで、なにごとも楽しむことができるのだと思わされる。
この日も「撮影後冷たいジュースでみんなで乾杯しましょう!」とさすがな一言で現場を盛り上げた。ちなみに妻から暑さに対するネガティブな発言は一度も聞かなかった。僕は何回言ったことか……。
これは僕が妻を撮影しているシーンの写真。
この日最後のカットで太陽も傾き、暑さも表情も和らいだ。
僕らは朝にランニングをするのが日課だ。
なんなら、初デートは朝6時からのランニングだった。
いつものコースは近所の公園を何周か走って帰ってくるというもので、朝から体を動かすと、とても気持ちがいい。
ランニング後、時間に余裕があれば一緒に朝食を食べる。妻は料理が得意で、味も見た目も本当に素晴らしい。
シャワーを浴びる前に朝食を完成させるのがルーティンらしく、きっと走ってきた勢いのまま料理をするほうが捗るのだと思う。
そのストイックな感じが面白くてカメラをむけるのだが、「ランニング後はブスだから撮らないで!」と言われてしまった。
でも、そう言われると撮りたくなってしまうわけで。とはいえ嫌がられたくはない。帽子のツバで顔が隠れている瞬間だけは、シャッターを押すことができた。