《shanai / #写真家の視る働く空間 》合同会社DMM.com 篇
オフィスとは、多様な働き方の最前線。
写真家の目に映るオフィスの魅力とは、どんなものだろう。
オフィスのあり方が問われる今、細部まで工夫を凝らされたオフィス空間を写真家が切り取ることで「これからのオフィス」を考える企画「shanai / 写真家の視る、働く空間」。
今回は、合同会社DMM.com(以下、DMM)の本社オフィスを訪問。
DMMは、Webを通じて様々なコンテンツを提供する事業会社。「誰もが見たくなる未来。」を企業理念に、動画配信、FX、英会話、ゲーム、3Dプリントなど、提供する事業は60以上。幅広いサービスを時代に合わせ柔軟に展開することにより、常にユーザーへ価値を提供している。
15年間慣れ親しんだ恵比寿のオフィスから、現オフィスがある六本木へと拠点を移したのは2017年のこと。新オフィスのデザイン・設計にはチームラボをアサインした。
最新のデジタルテクノロジーに囲まれたオフィスは、訪れた取引先に対する“挨拶状”であり、社員を鼓舞する源でもあるという。オフィスは近年縮小傾向にあるなかで、オフィスを一層大切にするDMM。気鋭の写真家による撮り下ろしカットと共に「shanai」を探索する。
Photographer
武井宏員 / Hirokazu Takei
写真家・事業家。大阪生まれ、アメリカ育ち。ニューヨークでファッションフォトグラファーとして活動を開始。2015年に東京へ拠点を変え、ポートレートや旅撮影を中心に様々な作品を作り上げている。写真と歩むライフスタイルを提案する、株式会社CURBON代表も務める。
HP : https://www.hirokazutakei.com/
Instagram : @take1official
テーマは「ジャングル」。心揺さぶるデジタルテクノロジーでおもてなし。
エントランスでまず迎えてくれるのは、コンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれている滝。
透過するデジタルスクリーンには、糸のように繊細な滝が絶えず描かれている。手をかざすと滝が割れたり、水しぶきが上がったり。本物の滝のようなレスポンスが面白くて、思わず何度も試したくなる。
その奥は「ジャングル」と呼ばれる、来客用の会議室ゾーンへと繋がっている。
このエリアのテーマは「ジャングル」。左右の黒い壁面には色とりどりの花で形作られた動物たちが歩き、足元には約250種類もの多様な植物が生い茂る。通路の照明は薄暗く、聞こえてくるのは鳥のさえずりや虫の声。ほのかな緑の香りが鼻腔をくすぐり、都会のど真ん中のオフィスに来訪していることをつい忘れてしまいそうになる。
室内にも関わらず植物たちがイキイキとしている秘密は光合成。人の往来が鈍くなる夜間は照明を明るくして、生育を促しているという。
会議室名にはそれぞれ、A〜Zで始まる動物の名前が付けられている。例えば、Fならフラミンゴ。フラミンゴの部屋で会議があるときは、フラミンゴが目的の会議室の前まで一緒に歩いてアテンドしてくれる。動物に触れると、鳴き声とともにぱっと花や光が舞う仕組みで来訪者を楽しませている。
個室ごとに部屋の形やテーブル、椅子が違うことも特徴的だ。市販のオフィス家具を取り入れた部屋もあるが、チームラボがデザインしたテーブルがある部屋も。
キーワードは「開放感」。最大収容人数は500人のセミナースペースと、木の温もりが感じられるシャンデリアゾーンへ。
幻想的な「ジャングル」エリアを抜けると、広い空間にゆったりと机が配置されたセミナースペースに繋がっていた。仕事をするもよし、ちょっと一息つくもよし、時には外部向けにセミナーを開くもよし…。あらゆるシーンで大活躍のセミナースペースは、最大で500人を収容できるほどの広さを誇る。取材当日もさまざまな部署の人が行き交い、カジュアルなコミュニケーションが生まれていた。
さらに進むと、木の温もりあふれるシャンデリアゾーンへ。このエリアもまた、さまざまな種類の椅子やテーブルがセッティングされている。暖色系の照明に心がほっとする。
「リーズナブルでおいしいコーヒーが飲める」と評判のカフェも併設されている。
シャンデリアゾーンの窓際には小さな会議室が並んでいた。扉には「壁」の存在を感じさせない透明な扉を採用。個室自体の圧迫感も軽減されるだけでなく、窓からの光がフロア全体を明るく照らしてくれるなどさまざまなメリットが。
ニューノーマル時代におけるオフィスとは「心のよりどころ」
2022年6月時点のリモートワーク率は75%。オフィスに人が密集することもなくなり、社内の風景が以前とは大きく様変わりした。
コーポレート室・高橋さんにこのオフィスは社員にとってどんな存在か聞いてみた。
「働きやすく、生産性があがる場所ですね。時代の流れに合わせ、出社の人もリモートワークの人も不便なくミーティングができるよう体制を整えましたが、やはりオフィスはみんなが気兼ねなく集まれる場所だと思います。働く場所の選択肢は増えましたが、社員の心のよりどころであることには変わりありません。」
“オフィス”の定義とはなんだろう。働き手がそこにいればオフィスになるのか、社屋があればそこがオフィスなのか、机と椅子さえあればそこはオフィスなのか…。きっとそれは企業によって色々だが、DMMの考えるオフィスとは社員がいつでも帰ってきたくなる場所こそがオフィスなのかもしれない。
今回は、一見斬新なオフィスの真の顔に迫ることができた。
今後も写真家と共に、写真の力を最大限に引き出す企画をお届けしていく。
次回の更新をお楽しみに。