《インタビュー》豊島心桜が振り返る、「yawn volume:001」で見えた景色
写真の会社・CURBONが仕掛ける、写真家が“被写体の新しい側面”を描き出す企画「yawn」シリーズ。そのvolume:001に登場したのが、女優・グラビアアイドルとして活動する豊島心桜だ。
花盛友里、今城純、大辻隆広、三瓶康友の4名の写真家とともに作品撮りに臨んだ今回のプロジェクト。そこから生まれた作品は、2025年10月3日(金)〜5日(日)に開催された写真展で披露された。

普段はグラビアやドラマの撮影が多いという彼女にとって、「yawn」のプロジェクトはどのように映ったのか。撮影から展示までの道のりを振り返りながら、その心中に迫った。
PROFILE
PROFILE
豊島 心桜(とよしま こころ)
2003年9月25日生まれ。新潟県五泉市出身の女優・グラビアアイドル。アービング所属。2020年〜2024年まで『めざましテレビ』の「イマドキ」コーナーにレギュラー出演し、様々なドラマにも出演。2023年から『週刊プレイボーイ』表紙・グラビアなどに登場し、水着で注目を集めた。五泉市観光大使も務めている。
@cocorotoyoshima @cocorotoyoshima https://irving.co.jp/talents/cocoro-toyoshima/「いつか撮ってもらいたい」が叶った、yawnの現場で
──「yawn」の企画について聞いたとき、どのような印象を持ちましたか?
写真展の開催自体が初めてだったので、純粋に「すごくおもしろそう!」と思いました。私は普段、グラビアやドラマのお仕事が多く、今回のような作品撮りの現場はほとんど経験がなくて。撮る人の感性がそのまま形になる写真ってどんなのなんだろう、とワクワクしました。
それに今回は企画の第一弾ということで、4名の写真家さんに撮っていただけると聞いて。それぞれの作品に自分がどんなふうに写るのか、その違いを見るのも楽しみだなと思いました。

──今回、撮影を担当した写真家さんたちは、豊島さんが以前から「ご一緒したい」と思っていた方々だそうですね。
そうなんです。グラビアを始めて“撮られる側”になってから、勉強するような感覚でいろいろな写真を見るようになって。そこから写真家さんの作品にも興味が広がっていきました。
そのなかで私は、くしゃっと笑った瞬間とか力が抜けた自然体の表情とか、写っている人の素が伝わる写真が好きなんだと気づいたんです。
今回、お名前を挙げさせていただいたのは、まさにそういった写真を撮られる写真家さんたちで。どの方も「いつか撮っていただきたい」と思っていたので、みなさんが快く引き受けてくださって本当に嬉しかったです。

──それぞれの写真家さんとの撮影は、どのような雰囲気でしたか?
まず花盛さんは、事前に「ガールズパーティー」という撮影コンセプトとイメージ画像を送ってくださって、それがもう本当に可愛かったんです!
実際に現場に行くと、メイクさんもスタイリストさんも女性ばかりで。空気もすごく明るくて、「女の子が女の子のために撮る」というハッピーパワーを全身で感じました。

撮影中は、少し散らかった部屋のベッドで飛び跳ねたり、可愛い衣装をあえてぐしゃっとさせたり、日常の私をそのまま可愛く引き出してもらったような感じで、とにかく楽しかったです。
それに私は、女性のフォトグラファーさんに撮っていただく機会がほとんどなかったので、それもすごく新鮮でした。花盛さんは撮影するたびに「可愛い!」と言ってくださって、自己肯定感がめちゃめちゃ上がりました(笑)。
今城さんの撮影現場は、一緒に綺麗な光を探しながら進んでいくような、ゆったりとした時間が流れていました。まるで「帰り道」のように静かで、幸せな空気に包まれていて。花盛さんのすぐ後に撮影したこともあって、「撮る人によって、こんなに雰囲気が違うんだ」とびっくりしました。
今城さんは、私が「よし、やるぞ」と気合いを入れなくても、ただそこにいるだけの素の私を写し出してくれて。淡い光の中で自然体でいられたあの瞬間が、仕上がった写真にもそのまま残っているように感じました。
大辻さんの“初めまして”の印象は、とにかくフレンドリーな方。撮影前に雑談したときも、私の話をたくさん聞いてくれて、おかげですぐに心の距離が縮まったのを覚えています。
撮影では、「この衣装にはこのポーズで」と、ある程度構図やイメージを決めた状態で進めてくれたんですけど、仕上がった写真は見る人によって解釈が変わるような“アートらしさ”があって。
なかでも、重力に逆らっているように見える写真がすごくお気に入りです。本当は横向きで、ブロワーの風を当てながら撮っていたのに、縦にするとまるで落ちているようにも見えて。その発想がすごくおもしろいなと思いました。
三平さんは、作品のイメージと撮影中の雰囲気にいちばんギャップがあった方でした(笑)。写真はすごく静かで落ち着いた印象なのに、コミュニケーションはどこか不思議というか……。
例えば、表情の指示をするときに「友達100人できるかなって言葉に対して『そもそもどうして100人友達ができたらいいんだろう』って考えている文学的な感じ」って言われて。その哲学的な表現に、つかみどころのない魅力を感じました。
私なりにそのイメージを咀嚼して撮影に臨んだら、結果的に何も語らないけど何かを考えているような表情が写っていて。自分でも見たことのない表情を引き出してくれたおかげで「私ってこう見えるんだ」と、知らない自分に出会えたような感覚になりました。
流れに身を任せたからこそ見えた、自分の新たな可能性
──展示期間中は在廊もされていましたが、実際に在廊してみてどんなことを感じましたか?
私自身、たまに写真展に行くのですが、やっぱり“見る側”と“展示する側”は全然違うものだなと実感しました。
私は在廊中、いろんな方と積極的に話していたんですけど(笑)。展示する立場になると、自分が作品に込めた想いを伝えたいという気持ちも出てくるし、逆に見てくれる人の意見を直接聞けたりして、それが新鮮でおもしろかったです。

それから、ファンの方と直接お話できる場を持てたのもとてもよかったなと思いました。日頃から私を応援してくれている方の好みを知れて関係が深まったり、ファンの方同士が仲良くなっていく様子が見られたり。写真家さんのファンなど普段はあまり出会うことのない方とお話できたりもして。
展示をきっかけにいろんなつながりが生まれたことがうれしかったし、開催してよかったと心から思いました。
──来場者の方の言葉で、印象に残っているものがあれば教えてください。
「普段は見れない心桜ちゃんが見れた」とか。
私は笑顔のイメージがあると言われることが多いんですけど、今回の作品はそんな私とは少しかけ離れたものも多くて。ファンの方はどう受け取るのだろうと少し不安だったんです。
でも、そんな私も好きだと言ってくれる方がいて。どんな私も肯定してもらえたような気がして、うれしかったです。

──最後に、今回の撮影や展示を経て、ご自身にどんな変化が生まれましたか?
今までは、カメラの前に立つたびに、どこか他人からの見え方を気にしてたんです。「こういうポーズだったらよろこんでもらえるかな」とか、「自分を綺麗に見せなきゃ」とか。
でも今回は、そういう考えをなるべくなくして、写真家さんとその場の空気を楽しみながら、流れに身を任せるような気持ちで撮影に臨みました。それこそ「yawn(あくび)」って隠せないときもあるじゃないですか。だから私も隠さずにいようかな、と勝手に解釈してみたりして(笑)。

そうして生まれた作品には、初めて見る表情がたくさん写っていて。自分の幅が広がったように感じましたし、これまで持っていた固定概念がアップデートされたような感覚がありました。この経験はきっと、今後のお仕事において糧になるんじゃないかなと思います。
実は私、普段はわりと怠惰なんですよ(笑)。だから、仕事のときは頑張らなきゃとつい力が入ってしまうんですけど、今回“流れに身を任せた自分”を残せたことで、もっと素の自分を信じていいのかもと思えるようになりました。こういう表現のお仕事は、また機会があればぜひやってみたいです!

Text&Edit:しばた れいな
Photo:Kensuke Akanuma















