【ウエディングフォト】結婚式専門スタジオに聞いた、依頼主に後悔させない!ウエディングフォトの撮り方

近年、ますます需要が高まっているウエディングフォト(ブライダルフォト)。
最近ではロケーションや衣装のバリエーションも増え、よりカジュアルで自然体な姿を残したいと考える夫婦・カップルが多くなっています。

今回は、友人や知人からウエディングフォトの撮影を初めて依頼されたフォトグラファーや、これからウエディングフォトの撮影を仕事にしたいと考えている方に向けて、撮影前の打ち合わせから当日の流れ、押さえるべきポイントなどを含めた、ウエディングフォトの撮り方を結婚式専門スタジオ『TORUTOKOYA』の後藤竜典さんに伺いました。

「ウエディングフォト」ってどういうもの?

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ウエディングフォトは、人生の重要な瞬間である「結婚」を記念するための、新郎新婦のポートレートを指します。最も特徴的な点は、被写体である「モデル」が新郎新婦であり、素人のお客様に向けた撮影であるにもかかわらず、「一生に一度の失敗が許されない撮影」といった難しさがあります。

さらに、その形式は多岐にわたり、衣装、撮影場所、写真のスタイルなどが多様な現代の新郎新婦の需要に応じて変化しています。 近年では、結婚式を挙げずに特別な瞬間の写真だけを残す「フォトウエディング」の需要も高まったことで、クオリティやサービスの多様性も重要視されるようになりました。

ウエディングフォト撮影の魅力・メリット

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ウエディングフォトの魅力

ウエディングフォトの最大の魅力は、「自分の撮影した写真」が、新郎新婦にとって一生の思い出や記録として残ることで、フォトグラファーとして非常にやり甲斐を感じられる点です。また、最初の打ち合わせから撮影、そして納品に至るまで、全てのコミュニケーションが新郎新婦(エンドユーザー)と行われるため、良い写真が撮影・納品できた時にはとても感謝していただけるでしょう。それだけでなく、撮影したお客様のご紹介で、そのご友人からも撮影依頼をいただけたり、まったく別物の撮影依頼をいただけたりと、フォトグラファーとしての枠が広がる魅力もあります。

ウエディングフォトのルール

一方でウエディングフォトには一般的には知っておかなければならないルールが複数存在します。例えば新郎新婦の正式な立ち位置・衣装の名称・正しいポージング等、知識的に事前に把握する必要があり、それらを撮影に取り入れる難しさが存在します。また、ウエディングフォトは「一生に一度」の絶対に失敗ができない撮影でありながら、データだけでなくアルバムやプリントにも対応できなければなりません。バックアップの観点と印刷に耐えうる画質保持の観点からも、基本的にはフルサイズ機2台以上が必要とされ、フォトグラファーとして独立する際には初期投資が大きくなるリスクもあります。

ウエディングフォトが求められる背景

昨今では晩婚化が進んでおり、2023年現在の東京23区での初婚平均年齢は男性が31.8歳、女性が29.9歳となっています。結婚式の前撮り・後撮りとしてだけではなく、新たなニーズとして「ソロウエディング」という選択も増え、「結婚はせずとも幼いころからの夢でもある花嫁姿を残したい」や「今の一番きれいな時の私を残したい」といった需要が増えつつあり、求められるウエディングフォトの形も日々変化しています。「ウエディングフォトとはこういうもの」といった固定観念に縛られない、独創性や新たな発想が生み出せるチャンスの局面でもあるといえます。

ウエディングフォトの撮影の流れ【申込〜撮影まで】

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それではウエディングフォトのお申込から撮影までの流れを紹介します。

① 打合せ(ロケーションの紹介やプラン・オプションの説明、お見積もりの発行等)
② 撮影日の決定(ロケーションによっては申請が必要となります)
③ お申込み(一般的に前金をお預かりすることが多いです)
④ 衣装合わせ(スタジオへお越しいただき衣装を決めたり、ドレスショップへ行ったり)
⑤ 請求書の発行(撮影前までにお支払いいただきます)
⑥ 撮影当日

上記はあくまで私が所属しているTORUTOKOYAでの流れです。衣装を保有しているスタジオもあれば、撮影以外の部分は外部へ委託されているスタジオもあるため一概には言えません。一般的にフォトグラファー自らが集客する場合、衣装は新郎新婦自身で用意するか、ドレスショップを紹介するケースが多いでしょう。

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続いて打合せの中でのヒアリング項目を紹介します。

・新郎新婦のお名前(フリガナも含め)
・新郎新婦のお人柄(どんな人なのかを当日のスタッフに共有するため)
・来店理由(私たちをどこで知ってもらったのか)
・結婚式の情報(結婚式で使用するための前撮りの場合、納期までの逆算が必要)
・撮影で重要としている項目(写真のテイスト、ロケーション、ヘアメイク、衣装等一番重要視している点)
・肌荒れやアレルギーの有無、妊娠の有無(当日のヘアメイクスタッフへ共有するため)
・見学者について(何名?移動手段や集合場所等、場所によっては申請が必要な場合があるため)
・撮影イメージのヒアリング(希望イメージだけでなく、NGなイメージを聞いておくと分かりやすい)
・持ち込まれるアイテムの確認(指輪や思い出の品など)

上記がすべてではありませんが、ヒアリングだけでなく「提案」も大切です。ウエディングについては新郎新婦も初めてであり、知らないことばかりです。「どうしたいか?」だけで終わらせず、「こうするといい」や「こんなことができる」といった提案があるとお客様も安心してお任せいただけます。

最後にロケーション撮影の場合における、当日の流れを紹介します。

09:30 スタッフ集合
09:55 お客様集合
10:00 お仕度開始 (新婦が1.5時間、新郎が0.5時間程)
12:00 お仕度終了、移動 (タクシー or 自社の車)
12:30 撮影開始
14:30  撮影終了
15:00  お着替え
15:30  完全撤収

衣装の着数や支度場所からの移動距離によっても変わりますが、5~6時間は最低でもかかります。また屋外で撮影する場合は雨天予備日の設定や、日の入り時間に合わせたスケジューリングなど、様々です。

お客様を後悔させないためのポイント・注意点

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基本的に撮り直しをすることができないウェディングフォト撮影では、お客様とカメラマンの間でイメージのギャップが出ないように、当日までの中でどんな写真を撮りたいのかお客様に具体的にイメージしていただくことが大切です。

また、お二人にとって、撮影で最もこだわった部分も確認しておくとよいでしょう。 特に押さえておくべきいくつかのポイントを記載します。

① 表情

最も多いご要望が「自然体な2人を撮って欲しい」ではないかと思われます。とはいえ、カメラマンから「笑ってください」と声を掛けられ自然な笑顔ができるお客様は多くありません。そんな時は二人にお話をしていただくことを私はお勧めしています。例えば「撮影後に何を食べに行くか?」であったり、共通の趣味があればその話をしていただいたり。何かの動作に付随している表情は自然な表情になりやすいです。

② 構図

モデルさんを撮り慣れているフォトグラファーにとって、ウエディングフォトは難しく感じるかもしれません。基本的に2人を動かしながら撮影し、ポージングも一から伝えなければなりません。そのため、事前にどのような画角で撮影するのか、また被写体をどこに配置するのかなど、考えておくことが理想です。

また画角について、モデルではない一般の新郎新婦にとって「自分の顔のクローズアップ」は恥ずかしいと思われてしまうことがほとんどです。まずは全身を残し、そのあとで七分・半身・バストアップなど、様々な画角で残す必要があり、モデル撮影としっかり区別しておく必要があります。ロケーション撮影の場合は歩行者や看板など不要な映り込みにも注意が欠かせません。

③ 衣装

衣装については先述した基礎知識に加え、「後ろ姿」をしっかりと撮影しておくことがおすすめです。和装の場合は美しい刺繍が一番きれいに見え、洋装の場合はトレーンが長いためスタイル良く美しく見えます。

そして、和装の場合は各種の名称を覚えておく必要があります。

白無垢・色打掛・掛下・半襟・懐剣・筥迫‥‥言い出したらキリがありませんが、和装の扱い方を押さえておかなければ、一般的に良くないとされる写真に仕上がってしまいます。

またお客様は髪飾りや胸元の細やかな小物(半襟や重衿・懐剣・筥迫・末広)にもこだわりを持ちお選びいただいています。コーディネートとしてクローズアップのお写真も撮影しておきましょう。

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④ ホスピタリティ

自分たちの特別な瞬間に、安くはない金額を払い、一生の思い出として撮影をご依頼いただいていることをしっかりと認識し、細やかな対応を大切にする必要があります。一つ一つの言葉遣いがとても大切です。例えば「両親」というワードに対しても、すでにどちらかが亡くなられている場合もありますし、「指輪はありますか?」という問いに対しては、お金がなく指輪を諦めたカップルもいらっしゃいます。どのような場合であれ二人にとっての大切な瞬間の撮影となることを再認識し、良い思い出で帰っていただくよう細心の気遣いをしておもてなしすることが大切です。

おしゃれなウエディングフォトを撮るためのアイデア

最後に、おしゃれなウェディングフォトを撮るためのポイントをご紹介します。「おしゃれさ」を出すためには、トレンドを押さえつつ、お客様のイメージに合ったロケーションや小物を提案することが大切。いくつかアイデアをご紹介します

① おすすめロケーション「和邸宅」

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和邸宅は前撮り衣装として人気の高い和装に相性が良いのはもちろんのこと、洋装で撮影することで和洋の違和感から「おしゃれさ」を演出しやすい特徴があります。貸し切りで撮影できることがほとんどですので、人目を気にせず撮影を楽しんでいただけることもおすすめです。

② おすすめロケーション「自然」

大自然と共に残すウエディングフォトも人気です。TORUTOKOYAのプランにはありませんが、最近では岩場や崖で残すようなBOHO前撮りもとても人気です。

カメラマンが主とする撮影・編集以外の部分でもこれだけの要素があり、スタイリングセンスが問われる部分です。インスタグラムやピンタレストでトレンドを押さえつつも、先述した古典的な要素も重要となっていきます。

③ おすすめ小物「ブーケ」

ブーケというと、一般的にはドレスをイメージされる方が多いかもしれませんが、和装にブーケを合わせるのも素敵です。写真撮影となるとブーケはシンプルで大きいものが理想です。小さく柄の細かい素敵なブーケも数多くありますが、存在感があまり出ないため、写真映えしにくいです。

④ おすすめ小物「綿帽子・角隠し」

綿帽子・角隠しは婚礼衣装として格式のあるもので、ウエディングフォトでしか着用されることのないアイテムの一つです。写真を見ただけで「結婚」ということが伝わるだけでなく、目線の送り方やポージングでより上品な仕上がりになります。

 ⑤ おすすめ小物「ベール」

ベールがなびく瞬間や、顔をベールで隠す写真など、どれも美しく幻想的です。ベールは短いものから長いものまでさまざまな種類があるため、撮影時のロケーションに合わせて選択する形がベストです。

ウエディングフォトを撮影するために大切なことは数えきれないほどありますが、まずは押さえるべき基本をざっくりお話ししました。ウエディングフォトの撮影はお客様からのダイレクトな反応が返ってくる分、とてもやりがいがあり、喜んでいただけた時にはこれまでにないほどの喜びを感じられるものです。そして、あるカップルの特別な瞬間を残し、その写真が二人にとっての一生の宝物になるなんて、とっても素敵な仕事だと思いませんか?知識と責任感が求められる大変なお仕事ですが、その先には感動と達成感が待っています。
皆さまにもその素晴らしさを共有できることを願っています。

PHOTOGRAPHER PROFILE

後藤 竜典

PHOTOGRAPHER PROFILE

後藤 竜典

1996年生まれ。高校生の頃からカメラに親しみ、写真の魅力に引き込まれる。
特に人物写真に心酔し、独自の視点でライティングを駆使した光と陰の調和が印象的な絵画のような一枚を作り出すことでオリジナリティ溢れるウエディング写真を撮影。国際的な写真コンテストで2度の金賞受賞歴を持ち、その実績を通じて高い評価をいただいている。「オトナかっこいい」をコンセプトに掲げたTORUTOKOYAに所属し、技術と感性を融合させ、スタジオのトップフォトグラファーとして活動中。


【ウエディングフォトコンペ受賞歴】
2023年 AWPA competition 1st Half 2023 1st PLACE Bride & Groom Together (部門世界一位)
2023年 AWPA competition 1st Half 2023 3rd PLACE Bride or Groom Single (部門世界三位)
2023年 AWPA competition 1st Half 2023 Excellence Award Bride & Groom Together
2023年 AWPA competition 1st Half 2023 Excellence Award Bride or Groom Single
2023年 COSMOS AWARDS 2023 1st PLACE _Pre Wedding Bride Alone (部門世界一位)
2023年 COSMOS AWARDS 2023 1st PLACE _Pre Wedding Groom Alone (部門世界一位)
2023年 COSMOS AWARDS 2023 Silver Award _Pre Wedding Bride Alone
2023年 COSMOS AWARDS 2023 Silver Award _Pre Wedding Couple Together
2023年 AWPA competition 2nd Half 2023 Excellence Award Bride or Groom Single

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