映像制作プログラムの集大成!作品講評会〜PART.2〜【ソニーマーケティング×CURBON「撮りたい映像」を形に vol.9】
ソニーマーケティングとCURBONの合同プログラムとして2024年11月からスタートし、CURBONの出張撮影サービス『Creators Base』に登録しているフォトグラファーが3ヶ月間にわたり映像制作のノウハウを学んできた『映像制作を仕事に。基礎から学べる育成プログラム』。その集大成である提出課題作品の講評会が、3月27日(木)に開催されました。
多彩な作品が寄せられた本講評会の内容と、計6作品の概要を2作品ずつ全3回にわたってお届けします。
第二回目の今回は、SNSマーケティングを題材にそれぞれ違ったアプローチで制作されたた『レストラン紹介動画(鈴木雅人)』と『朝の1人時間(飯田 尊)』についてご紹介します。
『レストラン紹介動画』鈴木 雅人
作品コンセプト / 制作者コメント
今回は、クライアントワークで依頼されたレストランの紹介動画をFX30で制作しました。制作の目的としては、レストランの予約を検討している方をターゲットに、おもに30代〜50代のお金に余裕のある方に向けて、レストランの権威性を高めるためのもの。普段からこういったクライアントのホームページやX、Instagramのアカウントで使用される映像を制作しています。
ビジュアルで表すことが難しいレストランの空間や雰囲気、美味しそうな料理やこだわりなどを映像に残すというところがテーマになっています。2.5時間で動画とスチールとの両方撮って納品するというような条件だったので、そういった中でも工夫をして制作をしました。
映像の尺:1分/制作期間:撮影 1日・編集 2日
※クライアントワークのため動画非公開
大川原氏 講評
全体的にドキュメンタリー的なタッチで撮れていることと、料理の美味しさという部分はすごく担保されていて、映像のきれいさも引き出せているんじゃないかと思っています。
こういった映像の場合、最終的に「このレストランに行きたい」と視聴者に思わせることが正解だと思うので、お客さんの目線というのも必要になってくるかと思います。たとえばカウンター越しや客席から見える姿など、シェフとお客さんとの距離感を感じられる絵があると良いかもしれません。内観もジンバルを使って実際に歩きながら撮影すれば映像に没入感が生まれると思います。「美味しさ」に注力するのであれば、調理中のしずるはもっとあってもいいのかなと思います。完成形の美しさには寄り添えていると思うので、調理中の様子をスローモーションで押さえるというような絵が入ってくるとさらにクラスアップできるのではないでしょうか。そういったインサートを差し込むことで、料理に寄り添い、かつシェフの姿も見える良いバランスになるんじゃないかなと思いました。
また、字幕については、1画面に対して大体20文字、1秒に10文字程度がベストと言われています。全体的に字幕の文字数が多く、割るべきところで割れていないというのが、目線が下にいってしまう要因になっているのかもしれません。メニュー名と字幕の差異もはっきりつけるといいんじゃないかなと思いました。これまでも同じような案件を撮影されていたということですので、数を重ねていけばブラッシュアップできる部分はあるかなと思います。
『朝の1人時間』飯田 尊
映像より一部シーンを抜粋
作品コンセプト / 制作者コメント
タイトルは『朝の1時間』、秒数としては30秒程度です。冬の飲料のPR動画というのを制作したいということで、SNS利用者を対象に、冬に女の子があったかい飲み物を飲んでいる映像で消費者の購入意欲を高めるといった意図の映像になっています。
冬の早朝の海を撮影したかったのですが、モデルさんの都合でどうしても早朝に撮影が不可だったので編集で早朝の海のイメージに近づけてみました。慣れないながらにカラコレ、カラグレを頑張りました。短尺の中で無駄なく自分の考えを映像に載せなければいけないというのはとても苦戦しましたが、今回初めて1から映像制作をしたので、大変いい経験になりました。
映像の尺:30秒程度/制作期間:撮影 1日・編集 1週間
大川原氏 講評
全体として、環境音の使用や雰囲気に合わせたBGMの導入といったあたりの工夫も感じられましたし、グレーディングも全体的にきれいにまとまっていると思います。
最初に見た時に、商品が前に出すぎていないのがいいなと思いました。いわゆるCMやプロモーションとして作られた映像のように媚びておらず、逆に言うとそこが少し足りないポイントでもあったかなと思います。商品広告として考えると固定されて商品が見えるカットがせめて3〜5秒ぐらいはあっても良かったかなと。たとえば、ベンチに座っている女性がいて、手元にある商品にピントがきているとか、海背景で商品だけ撮るとか。
さらに良くするためにというところで言うと、最初の顔もうしろ姿も寄っていて、人との距離感が一定で続いてしまっているところが少しもったいないと感じました。また自動販売機で飲み物を買うところからスタートしていますが、「冬の1人の時間」ということを伝えるためには、冒頭でどういう場所に行って何をしているのかを伝えることが正解じゃないかなと私は思っています。
たとえば、引き絵で海のそばにポツンといる女の子が自販機に歩いて行くとか、犬の散歩をする朝にいつも立ち寄る自販機みたいな設定でもいいと思うんですけど、状況説明があるとそこからギャップが生まれて商品を手にしたことによる心境の前後の変化が伝えられるので、そういった導入があるとなお良いかなと思います。
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PART2では、実用性のある紹介動画と商品PR的映像という異なる題材を扱った課題から、SNSマーケティングにおける映像制作のテクニックを深掘りした講評会の内容をお届けしました。PART3では、続く2作品をご紹介します。
PART.1・PART3はこちらから
映像制作プログラムの集大成!作品講評会〜PART.1〜
映像制作プログラムの集大成!作品講評会〜PART.3〜