映像制作プログラムの集大成!作品講評会〜PART.1〜【ソニーマーケティング×CURBON「撮りたい映像」を形に vol.8】
ソニーマーケティングとCURBONの合同プログラムとして2024年11月からスタートし、CURBONの出張撮影サービス『Creators Base』に登録しているフォトグラファーが3ヶ月間にわたり映像制作のノウハウを学んできた『映像制作を仕事に。基礎から学べる育成プログラム』。その集大成である提出課題作品の講評会が、3月27日(木)に開催されました。多彩な作品が寄せられた本講評会の内容と、計6作品の概要を2作品ずつ、全3回にわたってお届けします。
第一回目となる今回は、日常の美しさを穏やかな視点で切り取った『日常の詩(杉本紗奈)』と、ポップで可愛い世界観を表現した『kyumme 春色リップグロスCM(齋藤未央)』についてご紹介します
プログラムの集大成となる作品講評会
オンライン形式で開催された今回の講評会には、レビュアーとして本プログラムのアドバイザーを務めるビデオグラファー・大川原諒氏とソニーマーケティング・堀 晃洋氏が参加。各作品の視聴後、コンセプトや試行錯誤した点を制作者自らが解説したうえで、大川原氏による講評とあわせてブラッシュアップの方法や今後に向けてのアドバイスが直接伝えられました。
『日常の詩』杉本 紗奈
映像より一部シーンを抜粋
作品コンセプト / 制作者コメント
テーマは、「特別じゃない日々の美しさ」。日常に潜む「偶然の美しさ」を大切にしようというメッセージを込めた映像作品です。
複雑で華やかなカメラワークはあえて避け、ゆったりとしたピアノの音色に合わせて、穏やかなトーンの作品に仕上げました。シンプルな景色を撮るだけだからこそ、事前に絵コンテを考えるのが難しかったです。また、映像の撮影規格や編集の考え方が写真とは大きく異なり、その違いに適応することが挑戦でした。
映像の尺:40秒/制作期間:撮影 8〜10週間・編集 2.5週間
大川原氏 講評
風景の切り取り方など、写真家としての目線をしっかり感じられる作品でした。
「何気ないけど何かいい」というコンセプトも表現できていて、グレーディングやフィルターを使っての試行錯誤も良いかたちで活かすことができていると思います。BGMの展開に合わせたカットのマッチもしっかりとできていました。ただ、いろんな目線をお持ちだと思うので、せっかくならもっといろんな画を見たかったなと思ってしまったのが正直なところです。
惜しいと感じたのは、シンプルな映像だからこそ小さな手ブレが逆に目立ってしまっているところ。スチールと違って毎度三脚を構えるのはちょっと手間ではありますが、こういった小さな工夫がシンプルな映像ほど効果的に出ます。
技術的な面でいうと、映像面のアプローチを技術的な部分で感じられれば良かったのかなと。シーンに応じてタイムラプスやスローを使ってみたり、編集でスロー&クイックしていくなど、今の目線に技術面で要素を足してもらえると作品の幅が出てくるんじゃないかと思います。また、キャッチコピーや全体を通して伝えたいひと言を文字やナレーションで入れるだけでも、この映像の意図がもっと伝わりやすくなるのではないかと思いました。
『kyumme 春色リップグロスCM』齋藤 未央
映像より一部シーンを抜粋
作品コンセプト / 制作者コメント
10〜20代女性をターゲットにYouTubeや企業ホームページで視聴されることを想定した、100円ショップのリップグロスのCMです。ラグジュアリー過ぎず、親しみやすく適度に明るくポップなイメージにしたいと思い制作しました。
撮影においては、同じようなカットが続かないように画角や背景、照明で変化をつけました。なるべく緩急を付け、テンポ良く切り替わるよう編集し、大川原さんから編集セミナーで教えていただいたダヴィンチで、肌を綺麗に見せるエフェクト機能を探り探り使ってみました。
映像の尺:20秒程度/制作期間:撮影 1日・編集 1.5日
大川原氏 講評
まず「ラグジュアリー過ぎない」というところの位置付けがすごくうまくできているなと思いました。こういった映像は視聴者の目を最初に引くことが重要なので、アタックの強い曲のチョイスも商品的にすごく合っていると思います。セットや構成の内容、衣装、小物もろもろ含めて、撮りたいもののための事前準備が一番よくできていたのではないでしょうか。編集面でもいろんなことに挑戦されたことが多々垣間見えました。
総合的にすごく良かったのですが、メインアプローチである唇の寄りを見せたり、商品のテクスチャーや色の違いにフォーカスした絵が入ってきてもいいのかなと思いました。2色展開だとしたら画面を2分割して唇を同サイズで並べてみるとか、商品をコマ撮りでちょっとポップに見せるなど、もう少しバリエーションを探れていたら、より良かったかもしれません。
撮影では、前ボケの作り方も試行錯誤されたようですが、コップやガラスなど、ちょっとキラッとする要素があるものがこういうテイストには合うんじゃないかなと思います。商品広告ということで考えると、縦型の容器に対して商品名が横文字で展開されているので、せめてどこかワンカットは画面に対して商品名がちゃんと並行になるカットがあるといいですね。ギミックやカットを増やすなどをして今後アップデートしていけば、すごくいいものになるんじゃないかなと思います。
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PART1では、フォトグラファーのバックグラウンドを持つ2名がそれぞれの視点や強みを活かしながら「美しさ」や「可愛さ」の表現に挑戦した作品をご紹介しました。PART2では、続く2作品についてお届けします。
PART.2・PART3はこちらから
映像制作プログラムの集大成!作品講評会〜PART.2〜
映像制作プログラムの集大成!作品講評会〜PART.3〜