【成人式前撮り】フォトスタジオ代表に聞いた、成人式前撮りのレタッチ
一生に一度、成人した晴れ姿を形に残す成人式の前撮り(後撮り)。
近年では思い出の場所や晴れ着にぴったりなロケーションで行う屋外撮影も人気を集めています。成人式前撮りの撮り方記事に続き、今回は撮影後の編集・レタッチのコツや気をつけるべきポイントについて、『片倉写真事務所』の片倉玄徳さんに伺いました。
目次
成人式前撮りレタッチについて
今回は撮影データの編集・レタッチに関してご紹介します。
編集はAdobeソフトのLightroom・Photoshopを用いて行います。
レタッチはあくまで補正という役割のため、撮影データ自体が白飛びや黒つぶれなどが無い適正な値で撮られているという事が大前提となります。撮影段階から仕上がりのイメージを持つことは大切と言えるでしょう。
また、成人式の前撮りは撮影者本人の作品であると共に、依頼者に喜んでいただく写真として作り上げていくことが求められます。ご本人様やご家族様の意図を、撮影時やヒアリングの際に汲み取って写真に反映できるようにすることも大切です。
撮影データ編集の流れ
当社では成人式1件の撮影で1500枚前後のカット数をRAWデータで撮影します。撮影時間は3~4時間ほどです。その全データの中から納品カットを300~400カットほど選別し、色補正をかけていきます。
1.撮影データのセレクト(Lightroom)
セレクト作業は、納品のクオリティーを決める大切な作業の一つです。始めに、表情や構図の良くないカットを省きます。表情のバリエーションやアングル、構図に偏りがないかなどの全体的なバランスも見ながらセレクトします。セレクト作業で最も重要なのは良い表情を見逃さずに選んでいく感覚です。必ずお客様目線で選んでいきましょう。
2.色補正(Lightroom)
選別した写真をLightroomにてRAW現像を行い、JPEGで書き出します。色補正は後述のロケ撮影の季節や空気感に応じて1枚1枚調整を変えています。
3.追加補正(Photoshop)
Lightroomにて書き出されたJPEG画像をPhotoshopで編集します。
肌補正:ニキビや肌荒れを消して肌をきれいに見せます。健康的な肌に見えるように色味や明るさにも注意します。
フェイスライン補正:あごや頬骨が気になる場合は極力目立ちにくいように修正を加えます。また、二重あごや頬が太って見える場合も目立ちにくいように修正を加えます。
ボディライン補正:二の腕やウエストが気になる場合、姿勢が悪い場合なども目立ちにくいように修正を加えます。
また、トリミングなども必要に応じておこないます。
肌補正に関して
「ニキビを全て消してほしい。」など撮影後にご要望を受けることがあります。
肌補正に関しては、一括での補正ができないため、全データを1枚1枚補正する必要があり時間を要する作業になります。レタッチ作業の時間に応じた追加料金を予め設定し、事前打ち合わせの時に説明しておくことをおすすめします。
お着物にも注意をはらって現像をする
お召しになるお着物はお祖母様、お母様と代々受け継がれてきた振袖を着られることもあったり、ご本人様やお母様が一生懸命吟味されてレンタルされたお着物だったりと、思い入れのあるものばかりです。
「お着物のお色味が現像によって異なったものとなってしまった」「見せたい柄行が写っていない」「明暗差で柄が飛んでしまい見えない等」のトラブルを避けるために、ご本人の見え方だけでなく、お着物の色味や柄行にも注意をはらって現像を進めていく必要があります。
季節に応じた成人式前撮りのレタッチ
成人式前撮りのロケ撮影は、真夏以外はどのシーズンも依頼があります。
1月(成人式の当日撮影)
2月・3月・4月(梅や桜 春のロケシーズン)
5月・6月(新緑から初夏のロケシーズン)
10月・11月・12月(秋から冬にかけて紅葉のロケシーズン)
実際の作例と共に、それぞれの季節の特徴や撮影・レタッチのポイントをご紹介します。
①春
全体的に色温度を低めに振ることで澄み切った春の雰囲気を表現できます。桜自体も淡い色が多いため、振袖姿がよく映えます。
②初夏(新緑)
黄味が強い緑を背景に撮影した場合は、レタッチの際に青緑寄りに色相を調整し、彩度を抜くことで落ち着いた印象を与え、被写体を目立たせることが出来ます。被写体の緑被りに注意しましょう。
③秋(紅葉)
紅葉を際立たせるように、暖色を意識した色調補正を行い、秋の雰囲気を演出することがおすすめです。被写体の赤被りに注意しましょう。
④冬
日中から柔らかい光が狙えます。白色のグラデーションを使い、逆光を少し足すことで冬の光のイメージを演出しています。
成人式前撮りのレタッチのポイント・注意点
成人式の写真は七五三や婚礼などと同様に、基本的に過度な補正をかけず、二十歳の姿を残すという記録写真としての意味合いも大事にしないといけません
そのため、当社ではご依頼者が気付かないほどの細部調整のみで最低限整える様にしています。フェイスライン、ボディラインに関しても同様で、過度な補正のしすぎでその人らしさが損なわれないよう慎重に行うべき作業です。過度なレタッチがかけられない分、撮影時は、被写体がより美しく見える角度や表情で撮影することや、肌の綺麗に写る光を探すなどそれを補う撮影を心がけましょう。
PHOTOGRAPHER PROFILE
PHOTOGRAPHER PROFILE
片倉玄徳 Katakura Gentoku
1980年三重県伊賀市生まれ
大谷大学卒
日本写真映像専門学校卒
2012年片倉写真事務所設立
京都北山のフォトスタジオ
Katakura photo office
婚礼/成人式/家族写真/ポートレート/商業撮影 を行ってます。