Nana*さんに聞く、主役を引き立てるテーブルフォトスタイリングの3つのコツ|クリスマススタイリング編 #写真家放談

卓上を舞台に表現するテーブルフォト。一見すると簡単そうなテーブルフォトですが、世界観を作るのはむずかしいですよね。そこで今回はスティルライフフォトを中心に広告撮影、プロップスタイリングなどのクリエイティブ制作に携わるフォトグラファーのNana*さんに、テーブルフォトのスタイリングで心掛けていることを教えてもらいました。


Nana*

フリーランスフォトグラファー/ライフスタイルセレクトショップ AURORA オーナー

スティルライフフォトを中心に、広告撮影、動画撮影、アートディレクション、プロップスタイリングなどのクリエイティブ制作に携わる。 2018年4月よりNHK文化センター青山教室「AURORA写真塾」講師パーソナルワークとして2013年から暮らしをテーマに写真を撮り続けている。
著書『the moment of SLOW LIVING 写真で紡ぐ、暮らしの時間』(2022年2月出版)

https://atelier-aurora.com
https://www.instagram.com/necozalenky_life/
https://twitter.com/necozalenky


こんにちは。テーブルフォトをメインに撮影しているフォトグラファーのNana*です。

先日CURBON + 年間プランユーザー向けに、クリスマスをテーマにした写真教室を開催しました。クリスマスの写真はスタイリングの要素が大きいと思いますが、今回は教室で解説した、私が普段スタイリングで意識していることを3つ紹介したいと思います。

スタイリングとは?なぜスタイリングが必要なのか?

テーブルフォトにおけるスタイリングとは、見せたいものがより魅力的に見えるように、見栄えを整えること。テーブルフォトというのは何か撮影の目的がある場合が多いですよね。その目的に合わせて、どう見せたいのかゴールを設定してスタイリングを考えると、意図が伝わりやすい写真になります。

私がスタイリングする上で意識していること

①見せたいものを決める

まず見せたいものを決めます。見せたいものを決めると、スタイリングをスムーズに決めやすくなります。見せたいものが複数ある場合でも優先順位をつけると良いです。

Nana*さんの作品

この写真はクリスマスのテーブルを楽しむ様子を表現したくて、伝統的なクリスマスのお菓子であるシュトレンを入れることでクリスマスの季節感を表現しています。

特に見せたかったのはキャンドルリースにしたクリスマスリースです。そのためリースに目がくように、お菓子はシンプルな見た目のものをセレクトし、控えめに添えています。

もしお菓子を見せたいならば、リースをシンプルなデザインのものにすると、お菓子が引き立ちやすくなります。

またリースが引き立つように、テーブルやテーブルウェアはやや無機質なものを選んでいますが、無機質すぎると冷たい印象になりやすいため、少しだけアンティークの要素をプラスして、冬のテーブルに相応しい温かみのある印象を加えています。

②小物に気を配る

Nana*さんの作品

この写真はキャンドルの明かりでティータイムを楽しむ様子を表現しています。

お菓子を見せたかったので、周囲の小物を控えめにし、グリーンはモミだけにしました。松ぼっくりも添えていますが、テーブルの色に近いものを選んでいます。

小物を選ぶ時には、テーブルや壁など、背景に馴染むようなものを添えると、目立ちすぎず、主役を引き立たせながら、さりげなく季節感を演出することができます。

Nana*さんの作品

今度は、同じお菓子を別のスタイリングで撮影しました。

アンティークの雰囲気を持つテーブルウェアで統一しています。テーブルクロスはリースとコントラストがつくようなトーンのものを選び、一方テーブルウェアはクロスと同じトーンにして背景に馴染ませることで、リースを引き立てています。

③要素を絞る

Nana*さんの作品

スタイリングはシンプルであるほど、伝えたいことが伝わりやすくなります。欲張って色々レイアウトしようとすると雑然とした印象になり、見せたいものや伝えたいことが曖昧になる場合があります。

この写真はリースを作り終えたところをイメージして撮影しました。

主役であるリースが引き立つように、周囲の資材は少しだけ映り込むように切り取っています。また、色もグリーン、ブラウン系だけに抑えて、統一感のある写真に仕上げています。小物のボリュームや色数が多いほどスタイリングの難易度が上がります。スタイリングに苦手意識のある方は、まずはシンプルなスタイリングを心掛け、慣れたらアイテム数を少しずつ増やすようにしてみましょう。

おわりに

テーブルフォトは曖昧な要素をできる限り排除すると、思い通りの写真が撮りやすくなります。まずは見せたいものを決めて、完成形のイメージを固めてから撮影すると、スタイリングでも迷うことが少なくなると思います。なぜそのアイテムを選んだのか、説明できることが理想です。鑑賞者に伝えたいことが伝わるほうが、印象にも残りやすくなると思います。

今回紹介したポイントは、どれも簡単に取り入れられるものなので、ぜひ明日からの撮影に生かしてみてください。皆さんのテーブルフォトのお役に立てたら嬉しいです。


使用機材

カメラ SONY α7IV

レンズ① Zeiss Planar T* 50mm F1.4
レンズ② CONTAX S-Planar T* 60mm F2.8
(②は最後の写真のみ、他の写真はすべて①で撮影)