【マタニティフォト】サロン代表に聞いた、レタッチ術

妊娠中の特別で神秘的な姿を残すことができるマタニティフォト。編集やレタッチはどのような点に気をつけながら行えば良いのでしょうか。前回の撮り方記事に引き続き、マタニティ、ベビー、ファミリーフォトを専門に撮影しているPhoto Salon FRAU(フォトサロンフラウ)の壹岐倫子さんに解説していただきました。

マタニティフォトの撮り方についての記事はこちらから
▶︎【マタニティフォト】プロが教えるマタニティフォトの撮り方

マタニティフォトとは

マタニティフォトとは、女性の妊娠期間の特別な瞬間を撮影した写真のことです。 撮影する時期については、通常おなかが大きくなり始める妊娠8ヶ月(28週)から臨月に入るあたり(36週)までの間が撮影に適した時期とされています。 妊婦さんお一人の撮影だけではなく、パートナー様やご家族との撮影など様々なパターンがあります。 マタニティフォトの魅力は、お腹の中で命が育まれているという本当に貴重な姿を形として残すことができるというところにあると思います。 また、衣装の規定なども無いため、一般の方を撮影するジャンルの中では、比較的フォトグラファーが独自の世界観やこだわりを表現しやすい撮影となります。

マタニティフォトのレタッチの基本

マタニティフォトは一般的なポートレートと違い、肌を露出することが多いため下着の跡が出てしまったり、妊娠によるトラブル(肌荒れ、妊娠線、正中線や脇の色素沈着、副乳、体重増加によるボディラインの変化)などがありレタッチが必要なことが多いです。ただ、依頼主がどの程度のレタッチを求めているのかは詳しくヒアリングする必要があると思っています。 例えばお腹の真ん中の正中線は妊娠中に現れ、産後は消えていくものなので、そのまま残したいという方も中にはいらっしゃいます。また、昨今はご自身の写真をアプリのフィルターを使って撮っている方も多く、しっかりとしたレタッチを求める方もいらっしゃいます。 依頼主のご要望がナチュラルレタッチなのか、しっかりとしたレタッチなのかどのような美的感覚なのかをしっかり理解し、その上でこちらからレタッチをご提案しています。

マタニティフォトのレタッチのポイント・注意点

中でも私が基本的にレタッチしているポイントは下記の4点です。

①下着跡や妊娠に伴う肌荒れ、妊娠線

左:before / 右:after

②正中線

左:before / 右:after

③二重顎

お腹を見るシーンが多いので下を向くことで二重顎になってしまう方が多く、レタッチをご希望される方が多いです。

左:before / 右:after (この方は顎だけでなく全体的に細く見えることをご希望だったので首と腕ラインも細くしています)

④背中

撮影時に背中の中心を引き上げるようにポーズしてもらうと背中がへこみくびれが出来るのですが、そのようなポーズが難しい方はより美しいボディラインに見えるようにほんの少し整えています。

左:before / 右:after

色味のレタッチについて

色味に関しては撮影時に血色がよく見えるよう、少し低めの色温度で撮影しています。
その後、レタッチで全体的に彩度を下げることで、あたたかみのある落ち着いた色味となり、肌の質感が美しく仕上がります。

レタッチの注意点

1.レタッチの度合いの希望を把握すること

まず第一に依頼主の方が何を気にされていて、どの程度のレタッチを希望されているかをしっかり把握すること。その上でどのようなレタッチができるかご説明し、認識を共有すること。

2.レタッチ後に確認をすること

私のスタジオでは選んで頂いた写真をレタッチ後にラインでお送りし、レタッチの具合が大丈夫か確認しています。ここでさらにもっとここを直したいなどご要望があれば対応しています。

3.肌の質感がなくなるほどツルツルにしないこと

レタッチしすぎて肌の質感がなくツルツルになってしまうと人間味がなくなってしまうので、絶対にツルツルにしてください!とのご要望がない限りは出来るだけナチュラルにその方の肌の質感は残して仕上げることを心がけています。

レタッチは最後の仕上げのお化粧的な位置付けなので、とても大切に考えています。 依頼主さんの気になる部分はしっかりレタッチしますが、不自然にならずナチュラルでご本人の良さを引き立てるようなレタッチを目指しています。

PHOTOGRAPHER PROFILE

壹岐 倫子

PHOTOGRAPHER PROFILE

壹岐 倫子

Photo Salon FRAU(フォトサロンフラウ)代表。2011年に友人のマタニティフォトを撮影したことで妊娠した女性の美しさ、神秘性、力強さに感銘を受け、フォトスタジオを立ち上げる。
大学でインテリアデザインを学んだ経験から撮影の空間づくりや、ダンサーとして指導経験もあり、どんな方もできる美しいポーズ作りも得意としている。
2015~2019年にはNYでも活動し、展示やアートコンペの経験も積む。
いつの時代に見ても力をもらえるような、シンプルでタイムレスな写真を心がけている。

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