フードフォトグラファー茶々に聞く、クリスマスにも使える料理写真の撮り方 – 冬を伝える編 – #写真家放談

食べることは、私たちの暮らしに欠かせない日々の営み。

ゆえに世界中の食品メーカーが季節ごとに商品を展開し、それらを訴求するためには“おいしさを伝える料理の広告写真”が欠かせません。ところが料理写真は撮り方が型にはまりきって、新鮮さやおもしろさがない状態に陥りやすいもの。

でも、ちょっとした工夫によって食の物語や背景まで伝えることができます。今回はフードフォトを中心にさまざまな企業の商品撮影やレシピ写真・動画の撮影をおこなうフォトグラファーの茶々さんに、“冬を伝える”料理写真の撮り方を教えてもらいました。


茶々(Chihaya Kudo)

秋田県出身・在住。1994年生まれ。

2018年の秋に趣味でカメラを始め、2022年4月に独立。フォトグラファーとして、フードフォトを中心に様々な企業の商品撮影やレシピ動画撮影、写真教室の講師として活動中。その他、雑誌「GENIC」への写真記事掲載、ローカルラジオ番組への出演、東京で合同写真展開催など。

Instagram:@kissa_chachaya / Twitter:@kissa_chachaya


フォトグラファーの茶々です。

以前「本当は人に教えたくないレタッチ」というテーマで、レタッチのポイントをお話ししました。今回の記事では「冬を伝えるフードフォト」をテーマに、1枚1枚を振り返りながら撮影時のポイントやエピソードをお話しします。

季節感のあるフードフォトを撮ってみたいや、撮影のアイデアを少しでも増やしたい時にはぜひ読んでいただきたいと思います。

①「シナモンホットココア」

【撮影時のポイント】

  • ストロボを使用し、斜め後ろから光が当たるよう調節。
  • カメラを三脚に固定し、セルフタイマーで撮影。
  • シャッターが切られるタイミングに合わせてシナモンパウダーを振るう。
  • 背景にLEDライトを設置し、玉ぼけを演出。
  • 同系色の小物を使用。
  • 落ちるシナモンパウダーがしっかり写るよう、黒っぽい背景を使用。
  • 明暗をしっかりと付けるため、レフ板は不使用。

【エピソード】

2021年12月の初め頃に撮影した写真です。寒くなってくるとホットココアが飲みたくなるので、冬の一枚として撮ってみました。イメージは”秋と冬の狭間の季節”です。木の葉がほとんど枯れ落ち、空気は冷たく、辺り一面は茶色く殺風景になります。それと同時に、街の外ではクリスマスに向けイルミネーションの準備……夜には暖かな光が現れ、なぜか心躍ります。そんな情景を思い浮かべてスタイリングをしました。

②「ロミアス風クッキー」

【撮影時のポイント】

  • ストロボを使用。
  • 雪景色をイメージし、白い背景を使用。
  • 手前と奥にツリーを置き、写真に奥行きを出した。

【エピソード】

手土産用にクッキーを焼いたので記念に一枚。シンプルな写真にするべくスタイリングのアイテムは少なめに。ちなみにミニツリーとトナカイは100円ショップで仕入れた小道具です。撮影したのは11月下旬頃、時刻は17時過ぎ。外はすっかり暗くなっていたのでストロボを使用しました。クッキーを束ねた写真をよく見るので真似してみました。

③「マカロン」

【撮影時のポイント】

  • 左側からLEDライトを当てて撮影。
  • ライトの色は昼白色。
  • クリスマスをイメージし、ミニツリーは絶対に取り入れることにした。
  • 色違いのマカロンが何種類かあり、その中からコースターのベージュ、ツリーのサンタ帽子の赤といったように小物に合わせた色を選んだ。
  • 右手でカメラ、左手でドライフラワーを持ち少しだけ前ボケを作った。

【エピソード】

以前、とあるラジオ番組に出演した際に撮影した一枚です。事前にスタッフの方が背景と小物、マカロンを用意してくださいました。スタジオの一角を使い、室内照明は付けたままLEDライトを当てて撮影。普段自分が持っている背景や小物を使っているので、用意していただいた物を使って撮影をするというのはとても新鮮で楽しかったです。

④「シュトーレン」

【撮影時のポイント】

  • 自然光で撮影。
  • 日常感のあるクリスマスをイメージ。
  • 三脚にスライディングアームを付け、俯瞰撮影。
  • スタイリングの際、バランスを取りやすくするため斜めのラインを意識。
  • 日常感や面白みを持たせるため“無造作感”を演出。
  • ”無造作感”を出すため、粉糖を振るったり、切り分けたシュトーレンをわざと斜めに配置したりした。
  • 手でフェイクリーフを持ち、前ボケを演出。

【エピソード】

こちらは定期的に行っている写真教室内で撮影した一枚です。お店で購入したミニシュトーレンを上から撮りました。冬はとても寒いですが、大抵の場合お部屋はストーブなどで暖めますよね。そんな暖かさを出すために、温もりを感じる木製のテーブル、カッティングボード、ナイフをチョイスしました。恥ずかしながらシュトーレンはカットされたものを1〜2回しか食べたことがなかったので、切り分ける際の厚さはどのくらいが正解なのか…内心ドキドキしながら切りました(笑)。

⑤「ロールケーキ」

【撮影時のポイント】

  • ストロボを使用。
  • 初雪をイメージ。
  • 陰影がしっかり出るよう、レフ板は不使用。
  • 下に本を重ねて高さを出し、被写体を引き立たせた。

【エピソード】

初めてロールケーキを作った際に撮影した一枚です。時期は11月下旬頃、その年の初雪が降った日だったので初雪をイメージした作品にしようと考えました。私の中の初雪はハラハラと降り、うっすらと地面に積もるイメージです。そしてその雪の上を歩くと靴の跡が残るので、そのような”足跡”をフォークで表現してみました。

⑥「サンタのクッキー」

【撮影時のポイント】

  • 自然光で撮影。
  • 洋書を広げ、その上にマグカップとクッキーを配置。
  • マクロレンズで撮影。
  • イルミネーションライトで玉ボケを演出。
  • 最大限ボケるようF値を最小に設定。

【エピソード】

こちらも写真教室内で撮影した一枚です。お店で見つけた可愛らしいサンタクロースのアイシングクッキー。いつもと少し違う感じで撮りたくて、洋書を広げた上にマグカップを置いてみました。子供に見つからないようそーっとマグカップの陰に隠れながらプレゼントを運ぶサンタクロースをイメージしています。クッキーが小さいのでマクロレンズを使用し、寄りで撮影しました。手で持ったイルミネーションライトをレンズに近づけて、いい感じの玉ボケになるよう何枚も撮影したうちの一枚です。

最後に

今回は一枚一枚どんなイメージで撮影したのかを振り返りながら解説させていただきました。

私自身、冬生まれということもあり、四季の中では冬が一番好きです。そのため、冬を意識した撮影はイメージが湧きやすく撮っていてとても楽しいです。
寒い季節、なかなか外に出ないからこそ、私は室内で今回ご紹介したようなフードフォトに挑戦しています。冬に限らず、いろんな季節のフードフォトを楽しんでみてくださいね。

使用機材

カメラ:SONY α7Ⅲ
レンズ

  • EF 90mm F2.8 Macro G OSS
  • EF 24-70mm F2.8 GM
  • Pancolar 50mm F1.8
  • APO-LANTHAR 65mm F2

三 脚:SLIKライトカーボンE83