「ダウ90000」のメンバー・中島百依子さんが、同世代の写真家・是永日和さんとタッグを組み、“メンバー以外”の人物撮影に挑む連載「好きこそものの上手なれ」。

今回は、対バン形式で行われた第3回撮影のオフショットと、撮影後に行われた振り返りをお届けします!

ーー伊澤さん、撮影どうでしたか?

伊澤:別のカメラマンさんに、同じ日に同じロケーション、しかも同じカメラで撮ってもらうことはこれまでなかったので、すごく刺激的でした!ラップバトルみたいでしたね(笑)。

中島:ラップバトル(笑)。

同じ「Nikon F5」で撮影

伊澤:是永さん、撮影中にオーディエンスを煽ったの覚えてます?

中島:覚えてますよ。私は。

是永:え、ほんとですか?

伊澤:「一発勝負で撮るから指加えてみとけ!」って。

是永:(笑)。

中島:私は撮影を見学しながら、「えー!」みたいな感じでした(笑)。

是永:言いたい放題でごめんなさい。

伊澤:でも、ほんとに一発勝負で素敵な写真が撮れててびっくりしました。手ブレしそうなぐらい動いてたのに。

是永:やっぱりそこはプロなんで(笑)。

ーーちなみに、それぞれの撮影の違いは感じられましたか?

伊澤:中島さんとは2回目だったので、いい感じに肩の力を抜いて撮影ができたなと思います。温かく受け入れてくれる感じがあって、すごく素敵な時間でした。

中島:たしかに。今回は会った瞬間から「えへへ」みたいな、にやにやした感じで始められたかも。

撮影の始まりからにやにやな二人

伊澤:是永さんはなんかすごい既視感があって。「なんだ、この動物は?」って。

是永:人間です。

人間離れした身体能力

伊澤:(笑)。うち、実家に大型犬がいるんですけど、大型犬がリード外されたときに暴走するやつだと思って。

中島:解き放たれたー!みたいな。

伊澤:そう。ずっと飛んだり跳ねたりしてて、自分の体でこんなに表現してくれるんだってびっくりしました。中島さんはポロンって音を奏でて「綺麗だね」って共有してくれる感じで、是永さんは「ついてこい!」っていきなりセッションが始まるみたいな。ほんと全然違いました。

ーー中島さんは、撮ってみてどうでしたか?

中島:前回は、決めたことをしっかりやろうって感じだったけど、今回はその場でいろいろ考えながら撮れた気がします。少し余裕が出てきたのかな?

是永:ポーズをメモしたノートを見て、すぐポイって捨ててましたもんね。

ポーズをメモしたノート
ノートを置き去りにする中島さん

中島:そう、「このポーズじゃない!」って(笑)。前回の写真を見たときに撮り方が固まってる気がしたので、その反省があったんだと思います。違うと思うものは切り捨てて、いろいろ撮ってみるぞ!って。

伊澤:現場ってそうですよね。お芝居も現場にいく前に準備するじゃないですか。でも、その場を楽しむことも必要で。そのバランスが大事なのは、写真も一緒なんだなって思いました。

中島:たしかに、お芝居もそうかも!それで言うと、衣装はほんとはパンツの予定だったけど、伊澤さんが持ってきてくれたスカートが可愛くて、急遽上から合わせたんですよね。

ーー中島さんは、緑がある場所でたくさん撮っていた印象です。

中島:緑、好きですね。木のところは、振り向いたら伊澤さんが登っててびっくりしました。

伊澤:木に登りたいってずっと思ってたんですよ(笑)。だから、「あ、登れそうな木がある!」って。中島さんがいい感じで撮影してくれて嬉しかったです。寝っ転がってるやつとか、すごい好き。

是永:その理由は!

伊澤:縦で見ても不思議な感じがするし、線が綺麗だなって。中島さんって、本当に構図の捉え方が上手というか、線とか曲線とかをめちゃくちゃ見てるのかなと思いました。

中島:嬉しい!でも、今回はその場で考えて撮ったから、撮るまでにラグがあって。人によっては待たせちゃうから、もう少しパッて撮れるようになりたいな。伊澤さんは自由に動いてくれるから、本当にありがとうございますって感じでした。

ーー是永さんは、中島さんの撮影を見てどう思いましたか?

是永:まず思ったのは、「カメラ使えてる!」って。F値とか変えてましたもんね。

中島:そんなことないです。何回か是永さんに聞いた気がする。「先生!」って(笑)。

先生を呼ぶ中島さん

是永:でもピントも合ってるし、撮ってる最中も自信がある感じで楽しそうでしたよ!あと場所選びもめっちゃよかったです。中島さんが先に撮影だったので、「俺もそこ使いたかった」って場所がいっぱいありました。

中島:ちなみにどこですか?

是永:緑の穴のところとか。

中島さんお気に入りの緑の穴

ーー同じ場所で撮影しようとは思わなかったんですか?

是永:もともと中島さんと違うことをやろうと思っていて。だから、中島さんのポーズとか撮影場所を見て、被らないようにしたんです。黄色いテープを使うのは、前から決めてたんですけど。

伊澤:急にテープを渡されて「今からあなたは妖怪です」って言われてびっくりしました。なんで妖怪だったんですか?

妖怪にさせられた伊澤さん

是永:撮影前日に映画のホラーセットの展示にいったんですよ。そこで「妖怪だ!」ってひらめいて、そのまま百均にテープとかゴミ袋とかを買いに行きました。

伊澤:そうだったんだ。みんな「妖怪!?」って困惑してましたよ。たしか、動物と並んでる写真を撮るときは「四体目になってください」って言われたような。

是永:言いましたっけ。

伊澤:うん、言いました。この写真、ちょっと不穏ですごくお気に入りです。妖怪と動物の中間の人……みたいな。

ーー中島さんは、是永さんの撮影を見てみて感じたことはありますか?

中島:是永さんは撮られる側の想像を超えてくるから、いろんな表情とか動きが撮れるんだなって思いました。私は「照れてる感じで」みたいに、日常の延長線上でポーズを伝えちゃうけど、それこそ妖怪とか飛び越えた設定で伝えると、こんなに見たことのない表情を撮れるんだって。

伊澤:このとき、必死に「妖怪にならんと!」って思ってました(笑)。

中島:あと「笑って」って是永さん、言わないですよね?

是永:言わないようにしてますね。「ハイチーズ!」とかは言ったりするけど。

中島:たぶん「笑って」って、言われたほうも難しいと思うんです。でも私は、その言葉を使わずに笑顔を撮れなくて。でも是永さんの撮影を見て、変なワードを出すことで笑顔を撮れるんだって、めっちゃ勉強になりました。

伊澤:たしかに。撮影中は、是永さんの言うこと・することに爆笑してただけだったというか。こんなに美しく撮ってもらおうとしない撮影は初めてでした。

是永:ほんとですか!

伊澤:はい。なんか私の感情を引き出してくれた気がします。撮っていくリズム感もすごくて、それにのっかっていこうと思えたというか。

まるで青春のような二人

是永:なんかこの日は、気持ちが先走ってたんですよね。

伊澤:それはめっちゃ感じてました。

中島:私も。

是永:みんなの見てる手前、かっこよくキメたいみたいなのがあったんすかね。とりあえずわーってなってました。

中島:それで私たちを煽りましたもんね。

是永:それはほんとにごめんなさい。

伊澤:(笑)。でも、二人に素敵な写真を撮ってもらえて、ほんとに嬉しかったです。同じカメラなのに全然撮り方とか写真が違うのもおもしろかったし。幸せな時間をありがとうございました!

おまけ / Photo by 中島百依子

PROFILE

中島 百依子

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中島 百依子

1999/8/21生まれ。福岡県出身。日本大学芸術学部映画学科演技コース卒業。
2024年7月期の話題作テレビ東京「夫の家庭を壊すまで」では、主人公惑わす新入社員松崎和歌子役を好演。普段の活動の傍ら、メンバーの日常や風景などをフィルムカメラで切り取っている。

・J-WAVE「GURUGURU!」毎週火曜22:00〜24:00
・ダウ90000第7回演劇公演「ロマンス」配信チケット販売中

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是永 日和

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是永 日和

2000年愛知県出身。立命館大学産業社会学部卒業。2022年10月に個展『日日是好日』。

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伊澤彩織

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伊澤彩織

1994年2月16日生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。2021年、映画『ある用務員』で俳優としての活動を始め、映画およびドラマ『ベイビーわるきゅーれ』シリーズで主演を務めた。ラジオ『Artistspoken』のパーソナリティを務めるほか、スタントやアクションコーディネーターとしても幅広く活動している。

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photo:夢萌
text&edit:しばた れいな