PENTAX SP

とっておきのカメラに出会うための連載「#わたしのカメラ 」。

そのカメラやレンズを通して見た世界は、どんなふうに映るのか。
また、フォトグラファーがその機材を選んだ理由とは。

今回はペンタックスのカメラ「PENTAX SP」とその作例をご紹介します。

PHOTOGRAPHER PROFILE

中根 華子/Hanako Nakane

PHOTOGRAPHER PROFILE

中根 華子/Hanako Nakane

1990年生まれ。島根県出身、京都府在住。10年ほど前に祖父からフィルムカメラを譲り受け、写真を撮り始める。光や感情が刻み込まれたように写る、フィルム写真の魅力にハマり続けています。

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わたしがこのカメラで撮る理由

PENTAX SPは祖父から譲り受けた、私が手にした最初のフィルムカメラです。初めてファインダーをのぞき、シャッターを切った瞬間。そこから見えた祖父母の家は、なぜかいつもとちがった特別な光景に見えたし、軽快に鳴った聴き慣れないシャッター音は耳にとても新鮮で、あのときの感覚は今でも心に残っています。このカメラを手にしてから、ファインダーをのぞいて光を追うのが大好きになり、家族も友達も、旅先で出逢う風景も、はっとする瞬間があると息をするように写真を撮ってきました。光を追いかけたとき、ふとした瞬間に現れるフレアや、やわらかく印象的な描写はタクマーレンズならではで、それも魅力の一つだと思います。

初めて手にしたときは、正しい撮り方などは全く知らなかったけれど、撮っていくうちに扱い方が体に染み付いて、自分の体の一部のようになっていく。まるでカメラが撮り方を教えてくれているかのようでした。フィルムカメラを初めて使う人にとっても、PENTAX SPの懐の深さに、安心して身を委ねられると思います。1960年代にたくさん作られ、多くの人に愛されてきたカメラを、今でも変わらず使い続けることができる幸せ。これから先の時間も共に生き、大切なひとたちや光景を残していけたらと思います。

information

PENTAX SPの基本情報

PENTAX SPは1964年に旭光学(現:ペンタックス)が発売した35mm一眼レフカメラ。 全世界で400万台以上を売り上げたというベストセラー機。

露出計はまだ普及の途上にあった60年代…PENTAX SPは、絞り込み測光のTTL露出計を内蔵し、ハイアマチュア機として手頃な価格で発売。これがきっかけで、一挙に露出計内蔵一眼レフを一般的な存在に。
※TTL露出計:Through The Lens レンズを透過した光を内蔵露出計で測定する方式。

絞り込み測光は使用時に多少の癖がありますが、全体的にスタンダードな操作系となっているため、初めての中古フィルムカメラとしても申し分ない一台。

世界規格のM42マウントが採用され、個性的なレンズやオールドレンズを楽しめるのも魅力。

幅・高さ・奥行:143.0mm×92.0mm×87.0mm
重量:623g(ボディーのみ)