PINKY DOLLsmagazineができるまで #クリエイターのルーツ |高橋枝里

高橋枝里

高橋枝里

新宿ニコンサロン、京都プリンツなどで写真展開催。雑誌、広告、カタログ、WEB、CDジャケット、書籍など撮影する傍らelliepop名義で作品「PINKYDOLLsmagazine」をInstagramにて投稿している。

HP:http://www.eri7studio.com
Instagram:@elliepop.pinkydoll


「PINKY DOLLsmagazine」について

PINKY DOLLsmagazine

人形を世界中のモデルに見立てて撮影した架空の月刊誌「PINKY DOLLs magazine」をelliepop名義でInstagramに毎月投稿しています。

今の作風になったきっかけ

PINKY DOLLs magazine


80年代アメリカのPOPカルチャーが大好きで、学生時代には深夜放送していたアメリカ版MTVを録画しては擦り切れる程見ていました。その時に観ていたミュージックビデオの鮮やかな色使いやファッションからかなり影響を受けたと思います。

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のちにモチーフとして人形を選んだのは、古着屋にデイスプレイしてあったアンティーク人形に一目惚れしたからです。

売り物ではなかったそれを懇願して譲ってもらい、写真を撮ったのが今の作風にいたる始まりです。

撮り方次第でコロコロと表情を変える様にどっぷりハマり、その経験がきっかけで人形を撮るようになりました。

今の写真になるまでの歩み – PINKY DOLLsmagazineができるまで

そこから人形をモチーフにした写真展を何度か開催しましたが、あるギャラリストの方から「わざわざ写真を撮るのではなく人形のセットをそのまま展示してはどうか?」と提案されたことがありました。

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私はフォトグラファーなので最終的な表現は写真にしたいという思いがあります。

そこで考え付いたのが雑誌の表紙形態にすること。これで3Dの世界を2Dにする意味を持たすこともできました。この形式にしてからますます想像力が深まり撮る意味や方向性が定まった気がします。

自分が撮りたい世界を表現するために。

よく皆さんに人形が本物の人間に見えると言っていただけるのですが、普段プロカメラマンとしてモデルやタレントさんを撮っている経験が活かされていると思います。ただモデルやタレントさんは自ら動いてくれますが人形は動きません。

ですので人形の肢体を少しずつ動かしながらポーズをつくる必要があります。このポージング作りが一番こだわって時間をかけるところです。

人形と向き合いながら何パターンもポーズを取らせて、この作業だけで気がつけば何時間も経過していることがあります。

PINKY DOLLs magazine

気が乗らず、なかなかしっくりくるポーズが定まらない時は一旦手を止めて、一晩寝かせてまた次の日にポージングに取り掛かることもあります。

とにかくこの作業が一番長くて「これだ!」というポーズに辿り着いた時は、作品の80%は完成したと言っても過言ではありません。あとの20%はライティング。ストロボやLEDなど様々な照明を使いますが、このライトの当て方ひとつでも人形に色々な表情が出るのでライティングするのもまた楽しみのひとつです。

このようにポージング、メイク、スタイリング、セッティングの全てを自分一人で完成させられるのが人形を撮る醍醐味で、自分が撮りたい世界が表現できたときはこの上ない喜びとなります。

思えば幼少の頃、バービーやリカちゃんに自分の好きな服を着せフルメイクさせて遊んでいたことを、フォトグラファーになった今も踏襲しているのかもしれません。

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