クリエイターが影響を受けた一枚 vol.12 #サウンドスケープ

“編集思考”とアートディレクションを武器に、新たな価値を生み出すデザインコンサルティングファームDynamite Brothers Syndicate。

そこで活躍するアートディレクターやデザイナーが、影響を受けた写真家を紹介する連載企画「クリエイターが影響を受けた一枚」。

第十二回は、アートディレクター細野隆博が「サウンドスケープ」をテーマにお話します。

株式会社ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート(DBS)

株式会社ダイナマイト・ブラザーズ・シンジケート(DBS)

東京港区にあるデザインコンサルティングファーム。
ブランディング、デザインコンサルティング、ロゴマーク開発など幅広いフィールドで事業展開中。

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THEME :サウンドスケープ

僕はデザイナーの頃から常に「発見と驚き」を意識して日々のクライアントワークに取り組んでいます。

そのせいか人が簡単に行けない場所、なかなか見つけられない場所や物に惹かれることが多く、そんな風景を切り取ったランドスケープ写真が昔から好きでした。

また、学生の頃からエレクトロニカというジャンルの音楽をよく聴いていて、そのジャンルは音だけではなく、ジャケットのデザインも秀逸なものが多く、「いつか自分でデザインを手がけてみたい」と思ったことがデザイナーを目指したきっかけの一つでもあります。

ジャケットのキービジュアルにはランドスケープ写真が使用されている作品も多くあり、今回はその二つを掛け合わせ、「サウンドスケープ」と題し、僕が影響を受けた音を感じるランドスケープ写真を紹介します。

ノイズ

DAN HOLDSWORTH

©️DAN HOLDSWORTH 『Megalith2』

人がいないミニマルな雰囲気と長時間露光によって膨張されたネオンの輝きによって、一般的な風景がSF映画のセットのような世界感に変貌した作品。

中央にそびえ立つシンボリックな広告塔がまるで未来の人類が放棄した施設で、何処かに向けて永遠と交信し続ける、虚しい電波塔のようにも見えてくる。

サイレント

GREGORY CREWDSON

©️GREGORY CREWDSON 『untitled 2004』

街のシーンの一瞬を切り取った一枚。時間が停止した静まり返った世界のように見えるから不思議。

ドラマチックな照明や空の色、可愛らしいカラフルな街並みとは対照的に、マネキンのように覇気のない人物が合わさることで静まり返った日常に潜む希望と不安を感じさせる。

チルアウト

上田優紀

©️上田優紀

足がすくんでしまうような自然の荒々しさと、それを包み込む圧倒的な自然の美しさ。

同じ場所・視点からどちらも感じられる現実なのに幻想的な一枚。

何層にも複雑に折り重なった音の波形のように見える稜線(りょうせん)と、淡いグラデーションの空の色との組み合わせが、緩急のある心地よい旋律を感じさせる。


今回、自分が影響を受けた写真を整理してみて、改めて「人がいけない場所に行ける」というのはすごい才能だなと感じました。

それは自分だけの場所を知っている、見つけられるという「探究心」だけでなく、目的地に着くための知識、場所によってはスポンサー獲得やトレーニングなど撮影前の周到な事前準備含めて。

僕自身、デザインワークも事前準備を怠ると相手に届く提案はできないと考えているので、共通点が見つかったようでうれしさを感じました。

writing

細野隆博 / Takahiro Hosono
Art Director / Dynamite Brothers Syndicate

紙媒体はもちろんWebディレクション・デザインも幅広く手がけ、積極的なコミュニケーションと丁寧に作り込んだデザインで信頼関係を築き、要望の先にある本質的な課題解決を目指す。新規スタジオ事業では動画制作のクリエイティブディレクションを担当。

dスタ:https://dstudio-dbs.com/