初めてフィルムカメラを購入しようとするときに「ニコンのカメラフィルムカメラがオススメだよ」と言われた事はありませんか。
ENCOUNTER編集部の筆者はこのような助言をいただいたことがあるのですが、いざ「ニコンのフィルムカメラ」を調べていくと、たくさん種類がありますよね。
結局ニコンのフィルムカメラの中からどの機種を選べばいいのかわからず、頭を抱えたことがあります。
そこで今回は実際にフォトグラファーの皆さんが愛用しているニコンのフィルムカメラをその個性や作例とともにご紹介します。
目次
フィルムカメラはニコン(Nikon)がおすすめ
フィルムカメラを手に取るのであればニコンのフィルムカメラはおすすめです。作例から機材を選ぶ連載「わたしのカメラ」においても多くのフォトグラファーたちがニコンのフィルムカメラを愛用しています。
フォトグラファーが共通して愛用する理由はこちら。
- シンプルな操作性は欠点が少なく「撮りたい!」と思った瞬間を逃さない。
- 特に機械式のものは電池が不要。途中でシャッターがきれなくなる心配がない。
- 堅牢な造りで壊れずらく、大事な撮影にのぞめる。
このようにニコンのフィルムカメラは多くのフォトグラファーたちに信頼されていることがわかります。
ではどんなフィルムカメラがいいのでしょうか?
今回は実際にフォトグラファーたちが愛用しているお勧めのニコンのフィルムカメラをご紹介します。
ニコンのフィルムカメラおすすめ8選
1.Nikon FEとは
日本の代表的な光学機器メーカーである株式会社ニコンが、1978年にNikon FEを発売。キャッチフレーズは「シンプルニコン」。その名の通り、シャッタースピードを「AUTO」に合わせ、ピント調節をするだけで撮影できる絞り優先AE機能を搭載。 また、電池は現在も生産しているLR44のため出先で電池を入手しやすいでしょう。機械式の非常用シャッターが搭載されているため、電池がなくなった際でも1/90秒固定でシャッターを切れる仕様。カメラ初心者にも優しい設計といえます。
Nikon FEの魅力と特徴
基本的に絞りの選択とピント合わせだけをおこなえばいい絞り優先AE機能によって、写真を撮りたいと思った瞬間と対峙したときにカメラを操作する意識をほとんど割く必要がありません。 こうした操作性の簡便さが、主にストリートスナップをメインとしてきた僕にとって撮り逃しが少なく、精神的なノイズが写真に写り込まないため、鑑賞者にとってフラットな写真を撮影するという理想を叶えてくれました。
https://encounter.curbon.jp/camera/mycamera-nikonfe-03/
Nikon FEの作例






















Photographer / みしぇる。(Kikuyama Kohei)
1995年生まれ。沖縄県出身、滋賀県在住。
ことばと写真による表現を通じて、よりよい自分を目指す。見た人が「これは自分の記憶だ」と錯覚してしまうような、穏やかでさりげない写真を理想としています。
Instagram : @crsa_photo/
Twitter:@ahiru_puka
2.Nikon FE2とは
Nikon FE2は、「Nikon FE」の後継機として1983年に発売されたフィルム一眼カメラ。 「FEシリーズ」は、Nikonの中級モデルの定番シリーズ。 クラシカルなデザインと、シンプルでわかりやすい操作性を備えた一台。 当時の世界最速:1/4000秒の高速シャッターが搭載され、フィルムカメラの中でも撮れる写真の幅が広い点も大きな特徴。 マウントは、1959年の以来、不変と称される現役「Fマウント」。 豊富なレンズを楽しめるのが「Fマウント」ならではの醍醐味。 ただ、Nikon FE2は、1977年以前のオールドニッコール(非Aiレンズ)は非対応のため、注意が必要。
Nikon FE2の魅力と特徴
クラシカルなデザインながら、1/4000秒という高速シャッターが使え、多重露光にも対応。シンプルで欠点が少ないところが魅力だと思っています。デジテルカメラでの撮影も好きなので、常に2台以上のカメラを用意して撮影に臨みます。Nikon FE2は軽量なのに丈夫で、荷物が多い撮影のときでも心強い存在です。“不足”のないカメラだからこそ、自由に自分らしく表現できます。
https://encounter.curbon.jp/camera/mycamera-nikon-fe2-2/
Nikon FE2の作例


























Photographer / kitaji_hiroka
故郷の田園で記憶したアスファルトのPetrichor(雨上がりにアスファルトから立ち上る匂い)を運びたいと思い、匂いを思い出せる写真を探し活動を始める。人体そのものの構造と後天的な癖や跡に魅力を感じ、体に目を向けた撮影もしている。
instagram @kitaji_hiroka
3.Nikon FM2とは
露出計以外には電池を使用しない、機械式35ミリフィルム一眼レフカメラ「Nikon FM2」は、1977年に発売された「Nikon FM」の上位機種として1982年に登場。 ピントや絞りなど全て自分で設定する必要があるため、「写真の基礎を覚えるのに最適なカメラ」として長い間写真学校の生徒の教材として親しまれてきた。 当時最高速度だった1/2000秒のシャッター速度を大きく上回る1/4000秒を実現し、世の中のカメラファンをあっと驚かせた。 バッテリー残量を気にせず撮れるのはアナログならではの魅力。「入門機」をお探しの方におすすめです。
Nikon FM2の魅力と特徴
さまざまなカメラを使い分けていますが、FM2の好きなところはフルマニュアルならではの”撮っている感”が楽しめるところ。F値もシャッタースピードも決めるのは自分。スマホのような機動性はないけれど、そのぶん一枚一枚ていねいに心に刻むようにシャッターを切れるんです。少し重めなシャッター音が「今まさに撮ってるな」と実感させてくれます。 さらに、シャッタースピードが1/4000まで使えるという点もお気に入りのポイント。明るい場所でもレンズのF値を下げてしっかりボカすことができるので、明るいレンズとの相性もばっちりです。 わたしにとってこのカメラは、 何気ない日常をもっと楽しくしてくれる、そんなカメラです。
https://encounter.curbon.jp/camera/mycamera-nikon-fm2/
Nikon FM2の作例


















Photographer / もなみん
東京在住の写真家・フォトグラファー・手書き文字作家。
ナチュラルな写真や、フィルムカメラの味のある写真を得意とする。企業PRなどの撮影、写真系メディアでの執筆など、幅広く活動中。
雰囲気のある手書き文字「もな文字」で大手企業のロゴ制作を手がけるなど、文字作家としても活動している。
instagram @and_mona
4.Nikon FM10とは
Nikon FM10は、1995年に国内光化学系メーカー「コシナ」のOEM供給のカメラとして登場したNikon最後の35mm完全機械式一眼レフカメラ。 2006年のNikonフィルムカメラの大幅縮小の中、Nikon F6と共に生産ラインに残り、「2012年度ロングライフデザイン賞」を受賞したNikonの誇るカメラの一つ。 露出、ピント、シャッタースピード、巻き上げなどカメラの基本操作を全て自分で調整、設定が必要な完全機械式。 初心者にはなかなか手が出しにくいイメージがあるが、難しい操作性はなく、もちろん、お馴染みのNikonレンズ「ニッコール」がそのまま使える。 半永久的に使えることから、カメラを勉強していくにはピッタリの一台。
Nikon FM10の魅力と特徴
機材を選ぶポイントとして「軽さ」をかなり重要視しているのですが、Nikon FM10はフィルム一眼なのにとにかく軽くて小さい。ですが、当然のようにきれいに写ります。 そして機械式なので壊れにくく、電池切れの心配もないため、とても信頼できるカメラです。
https://encounter.curbon.jp/camera/mycamera-nikon-fm10/
Nikon FM10の作例














Photographer / 山﨑優祐
東京都在住。フォトグラファー。
ポートレートを軸とした制作活動をきっかけに商業フォトグラファーとして活動中。
媒体を問わずファッションやビジネスジャンルでの撮影を行う一方で、書籍への作品提供やワークショップ講師など活動の幅を広げている。
instagram @syrup93g
twitter @syrup9393g
HP yusuke-yamazaki.com
5.Nikon F2とは
Nikon F2は、1959年の「Nikon F」の後継機として1971年に発売された35mm機械式フィルム一眼レフカメラ。 Nikonのプロ用の最上位フラッグシップ機である「F一桁」の堅牢性・信頼の高さは健在。 『機械式フィルムカメラの完成形』とも評され、後継機「Nikon F3」以降は、「F一桁」も一部機能の自動化が導入が進んでいきます。 プロ向けに設計されていることもあり、多少の雨や振動にも強く、ファインダーのブラックアウトの時間は極端に短いのが特徴。 そのため「Nikon F」同様、報道といった特に失敗が許されないカメラマンから多くの支持を得た一台。 ライバル機種であるCanon F-1と共に、1970年代の35mmフィルム一眼レフカメラの二大巨塔として君臨しました。 ファインダーは、露出計内蔵やLED表示、「Ai方式」対応、小型バージョンといった5つのバリエーション展開。 お馴染み「Fマウント」で、非Aiのオールドニッコールだけでなく、Ai方式用のファインダー装着でAiにも対応可能。ただ、現行モデルのオートフォーカス用レンズは非対応なのでご注意を。
Nikon F2の魅力と特徴
「ピントを正確に合わせて撮りたいものを撮りたいように写す」 僕にとって一眼レフを使う理由はそこにあります。 その中でNikon F2を選んだ理由は2つあります。 1つ目は、電池切れのない機械式であること。 以前使っていたカメラは、電池切れになるとシャッターが切れなくなる電子シャッター式のものでした。特に冬の撮影になると、冷えて電池切れになるという場面によく遭遇しました。 その点、このカメラは露出計のみに電池が使われており、途中でシャッターが切れなくなるという心配はありません。 2つ目は、今のカメラにはない重厚なデザインであること。 やはりカメラを選ぶときに写り以上に大事なのは、持ち運びたくなる「モノ」であること。
https://encounter.curbon.jp/camera/mycamera-nikon-f2/
Nikon F2の作例


















Photographer / hikage
愛知県在住。人の表情や仕草、動的な線の中で最も美しいと感じる点、決定的瞬間などを撮る。やり直しの効かない一瞬を予想して、目の前の一瞬を切り取る。
instagram @hikagenoiro
twitter @hikage_no_iro
6.Nikon F3とは
Nikon F3は、数あるNikonのカメラの中でもプロ用の最上位機種の「F一桁」の一つで、 “名機中の名機”と称されるフィルム一眼レフカメラ。 けているカメラの一つです。 特徴として、マニュアルフォーカスカメラでありながら、電子制御式シャッターや自動露出と一部電子化し、視野率100%のファインダーを搭載している点。 フィルム初心者にも扱いやすく、マニュアルの面白さ・奥深さも残された、撮る楽しさに没頭させる一台です。 能性だけでなく、自動車をはじめとしたイタリア工業デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロがデザインした、スタイリッシュなボディも魅力の一つ。
Nikon F3の魅力と特徴
初めて現像が返ってきたときは、f1.2の描写に感動したのを覚えています。 それからずっと、メインカメラ・メインレンズとして使っています。撮影内容によっては他のカメラを併用することもありますが、海外へ行く時など、大切な場面では必ずF3を使っています。
https://encounter.curbon.jp/camera/mycamera-nikon-f3/
Nikon F3の作例






















Photographer / 鹿野真里菜
写真家。1993年兵庫県出身。神戸大学 発達科学部 人間表現学科にて音楽を専攻、そのほか美術、映像、身体表現について幅広く学ぶ。卒業後、映画会社にて勤務、2018年よりフィルムカメラでの撮影を始める。現在はフリーランスとして活動する傍ら、2021年10月に旅を通して出会ったアンティークやインテリア雑貨を集めたオンラインセレクトショップ 「hora」をオープン。
オンラインセレクトショップ 「hora」
HP https://hora.official.ec/
Instagram @hora_official__
instagram @marnkano
twitter @marnkano
mail contact@kanomarina.com
7.Nikon F80とは
2000年発売 2006年販売終了 Nikon F80は、「撮りたい気持ち」にすぐに応えてくれる、コンパクトな本格一眼レフカメラ。 高性能でありながら、わかりやすい軽快なダイヤル操作で、誰でも簡単に使いこなせるのが魅力です。 5ヶ所のフォーカスエリアの中から1ヶ所を選択可能できるのが特徴です。 給送モードセレクトダイヤルの操作で多重露光もでき、プレビューボタンにより絞込みも可能です。
Nikon F80の魅力と特徴
比較的新しい製品なので、いわゆるフィルムカメラらしい雰囲気が薄いものの、ここぞというときに「失敗させない一台」だと思います。ピント合わせも速く、「撮りたい!」と思った瞬間を逃さない操作性に信頼をおく存在。一眼レフにしては大きすぎず重すぎないので、ちょっとしたお出かけにも持ち出せます。
https://encounter.curbon.jp/camera/mycamera-nikon-f80d/
Nikon F80の作例
















Photographer / 目次ほたる
関東を中心に活動する写真好きWEBライター。高校生時代からポートレートモデルを続けていたが、仕事をきっかけにカメラを持つようになり撮ることの楽しさに目覚める。特にフィルムカメラの深みにはドハマリした。
現在は自身のSNSでの投稿や、WEBサイト「Moment Powerd by 日刊ゲンダイ」で写真の連載をするなど、本業である文章を通じて写真の魅力を発信し続けている。
instagram : @hotaru.0821
twitter : @kosyo0821
note : @hotaru0821
8.Nikon F801とは
Nikon F801は、1988年に発売された35mmフィルムAF一眼レフカメラ。 いわゆる、Nikon F(フィルム)3桁シリーズの4機種目。 「日本工学工業」から社名を「ニコン」へと変更後の新製品第一弾となったNikon F801は、当時のNikonの持つ全ての技術を集結した本格派。 特に、超高速1/8000秒シャッターや高精度で高速のオートフォーカスと徹底した自動化や多機能化が進められ、ハイアマチュアからプロまで幅広いニーズに対応できる一台。 フィルムの自動巻き上げやフィルム感度自動設定など、フィルムにありがちなトラブルもスムーズに。
Nikon F801の魅力と特徴
このカメラのいいところはAF対応のレンズを使えばフィルムカメラなのにAFが使える事。突然撮りたいタイミングが訪れた時や、仕事で素早くピントを合わせなきゃ行けない場面などで重宝しています。 そして、ファインダーがとても見やすくフィルムも自動で巻いてくれるので、普段はデジタルのみで撮る人が初めて挑戦するフィルムカメラとしてもお勧めです。
https://encounter.curbon.jp/camera/mycamera-nikon-f801/
Nikon F801の作例














Photographer / 山﨑優祐
東京都在住。フォトグラファー。
ポートレートを軸とした制作活動をきっかけに商業フォトグラファーとして活動中。
媒体を問わずファッションやビジネスジャンルでの撮影を行う一方で、書籍への作品提供やワークショップ講師など活動の幅を広げている。
instagram @syrup93g
twitter @syrup9393g
HP yusuke-yamazaki.com
フィルムカメラを中古で購入する際のポイント
1.直接触れて状態を確認する
メルカリなどの個人が中古のカメラを出品しているプラットフォームでもフィルムカメラは購入できます。しかしそのような個人売買では露出計などの機能が適正に動くかどうかは実際に触れてみないと把握できません。中古のフィルムカメラのなかには経年し劣化しているものもあるので、正しく動作するか確かめることがおすすめです。
2.保証があるお店でフィルムカメラを探す
実際にカメラに触れて動作を確かめてから購入することもできますが、フィルムカメラ初心者が正しく状態をチェックできるか不安になりますよね。そういったときには保証期間があるお店で購入したり、プロが整備済みのフィルムカメラを購入したりするほうが製品として利用できないカメラを掴むリスクが少なく安心です。
3.カメラに求めることを明確にする
カメラという道具に求めることを明確にすべき理由は、一言でフィルムカメラといってもそれぞれのカメラに特有の機能や個性があるからです。
「露出計が内蔵している」「機械式で電池が切れてもシャッターがきれる」「絞り優先AEで簡単に撮れる」など、 道具に求めていることを明確にすると選びやすくなります。
とはいっても、そもそもカメラにどんな機能や個性を求めているかなんてわからない!と思うかもしれません。そんなときには自分がどんな写真を撮りたいか?そのためにはどんな機能が必要なのか、考えてみてください。
またとっておきのフィルムカメラに出会うための連載「#わたしのカメラ」をご覧いただくことによって、 それぞれのフィルムカメラの機能や個性が知っていただくことができます。
さいごに
ニコンのフィルムカメラには様々な種類があり、そして個性があります。
フォトグラファーが愛用する理由や作例を参考に、あなたにフィットするとっておきのカメラを見つけてみてください。