OLYMPUS PEN FT
とっておきのカメラに出会うための連載「#わたしのカメラ 」。
そのカメラやレンズを通して見た世界は、どんなふうに映るのか。
また、フォトグラファーがその機材を選んだ理由とは。
今回はオリンパスのカメラ「OLYMPUS PEN FT」とその作例をご紹介します。
PHOTOGRAPHER PROFILE
わたしがこのカメラで撮る理由
OLYMPUS PEN FTを使う理由は、ハーフカメラならではのライフスタイルを大切にするためです。
ハーフカメラならではのライフスタイルとは、「携帯性」「経済性」「伝達性」の3つであると私は定義しています。つまり、いつでもどこでも持ち歩けて、フィルム代や現像代などを気にせずに気の向くままに撮影でき、それが誰かと分かち合えるということ。
この3つのうち、私がもっとも大切にしていることは「伝達性」です。日常の中で写真を見る媒体はおそらく「スマートフォン」と答える方が多いと思いますが、スマートフォン越しで心惹かれる写真=画面いっぱいに表示される写真が一つの正解ではないでしょうか。この点において、縦構図を基本とするハーフカメラは、「伝達性」が高いといえます。
そしてPEN FTの最大の魅力は数少ないレンズ交換式のハーフカメラであること。これにより、日常・旅先などのどんな環境でも思い通りの表現ができるため、もはやPEN FTさえあれば必要十分だとさえ感じます。冒頭にあるハーフカメラならではのライフスタイル、「いつもどこにでも持ち歩けて、フィルム代や現像代などを気にせずに気の向くままに撮影でき、それが誰かと分かち合えるということ」が最大化できます。
そういう風に暮らしにカメラが溶け込んでいくため、シャッターを切る瞬間、イメージの中で私のファインダーと誰かの画面が重なって、何もかもを飛び越えて誰かとつながれるように思うんです。これこそわたしがOLYMPUS PEN FTを使っている理由です。
information
OLYMPUS PEN FT基本情報
1960年代〜1970年代にブームを牽引したハーフサイズカメラの立役者:OLYMPUS PENシリーズのハーフ判レンズ交換式一眼レフカメラ。 1966年に、PEN Fのモデルチェンジ機種として発売されました。
PEN Fシリーズは、世界初のハーフ判レンズ交換式一眼レフカメラで、ハーフなのに一眼レフという当時のカメラ業界に衝撃を与えたシリーズです。
デザインは、オリンパスの設計者:米谷美久氏によるもので、無骨さのないシンプルな外観。
ポケットに入るほどの小型にも関わらず、種類豊富なPEN Fマウントのレンズで本格的にカメラを楽しめるのが大きな魅力。
PEN FTはTTL露出計が内臓され、適切な絞り値が表示され、絞り値を手動で合わせるだけ、と初心者でも簡単に撮りたい写真が撮影できます。
男女問わず人気の高いカメラですが、使用している電池は現在流通していない水銀電池(MR-9)が唯一のマイナスポイント。互換性のある電池や、アダプター等の用意が必要となるので注意が必要です。
幅・高さ・奥行:127mm×69.5mm×32mm
重量:465g(本体のみ)