【作例レビュー】Leica M9|ライカのカメラ|#わたしのカメラ|vol.062
とっておきのカメラに出会うための連載「#わたしのカメラ 」。
そのカメラやレンズを通して見た世界は、どんなふうに映るのか。
また、フォトグラファーがその機材を選んだ理由とは。
今回はライカのカメラ「Leica M9」とその作例をご紹介します。
森川亮太(M.RYOHTA)
テレビ局に報道エディターとして従事したのち、2020年にカメラマンとして独立。
2020年より写真家 青山裕企に師事。
現在はアーティストのキービジュアルやミュージックビデオのメイキングなど、音楽ジャンルに関連する撮影を主軸に活動している。
Instagram : @m_ichirinka
Twitter : @M_ichirinka
Leica M9の作例
わたしがLeica M9で撮る理由
2009年に発売されたLeica M9は、Leica M型初のフルサイズデジタル機として有名です。
搭載されているCCDセンサーは、現在主流のCMOSセンサーと比べて出る色が濃く、フィルムに近い描写と言われています。私がM9を買う決め手のひとつが、このセンサーでした。
ただ、デジタルカメラとしての最低限の性能は備えつつも
・3,4枚連続でシャッターを切ると書き込みのために10秒前後のフリーズ
・ISO感度は800あたりからノイズが乗り始める
・モニターの液晶と実際のデータとの色の乖離が激しい上、ライブビューも非搭載
・フィルムカメラ並みのしっかりとしたシャッター音
などなど、現行の機種と比較するとお世辞にも便利とは言えません。
しかし、撮った写真を見返すと、不思議とシャッターを切った時の自分の呼吸までも思い出すことができるのです。
評するなら、「フィルムのいらないフィルムカメラ」とでも言えばよいでしょうか。
自分の意思でピントを合わせて、連写のできないシャッターを丁寧に切る。
使い込むほど手に馴染み、レンジファインダーのガラス窓を覗くたび、”写真を撮る”という行為そのものと向き合わせてくれる、大切な相棒です。
information
Leica M9の基本情報
Leica M9は、2009年〜2012年で製造された、ライカ初のフルサイズの1800万画素CCDセンサーを搭載したデジタルカメラです。
CCDセンサーはKodak社と共同開発されたものを採用。このカラーCCDセンサーが生み出すこってりとした独特の描写は、他のM型デジタルライカのどのモデルとも異なり、M9でしか得られない描写に未だに多くの根強いファンが存在しています。人の肌の描写にも定評があるため、ポートレート撮影にもおすすめです。
M9 の塗装は「ブラックペイント」仕上げですが、その最大のメリットはずばり「塗装が剥げること」。一見デメリットのようにも思えますが、マグネシウム合金のボディの場合は本体に傷がつくとシルバーの地金が出てくるのに対し、Leicaのカメラの多くは「真鍮」を使用しているため、使えば使うほどにゴールドの美しい色が出てくるという特徴が。それが「なんともかっこいい」と、高く評価される理由です。
さらに、ボディはわずか585gとフルサイズM型最軽量。値段だけを見れば決して安い買い物とは言えませんが、得られる描写に加え携行性の良さなども鑑みると高パフォーマンスな一台といえます。
幅・高さ・奥行:141mm×82mm×43mm
重量:585g(バッテリー含む)
そのほかのLeicaの作例記事はこちら↓↓
#わたしのカメラとは?
「作例から選ぶカメラ」そんな連載があったらいい——。写真と歩むライフスタイルを提案するCURBONがお送りする、作例から選ぶカメラの連載が「#わたしのカメラ」です。